なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

ベンチャー企業から大企業へ転職しづらいという言説のカラクリ

ベンチャー企業から大企業への転職は難しい?!

大企業かベンチャー企業かで進路を悩んでいる学生と話をすることがあります。

その際によく耳にするのが、大企業→ベンチャー企業への転職は簡単だけど、ベンチャー企業→大企業への転職は難しい、という話。 

コレ、実際のところはどうなんでしょう。大手の人事だから大手への就職へ誘導させたい、ベンチャーの人事だからベンチャーへの就職に誘導させたい、というポジショントークを抜きにしてちょっと考えてみました。

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ベンチャー→大企業への転職が難しい根拠は?

この言説、驚くほどソースが出てきません。誰に聞いたの?と聞くといつも、「どこかの誰か(たいてい大手企業人事)が言っていた」となります。そしてその根拠を聞いてみると大体下記の3つ。

  • まずは大企業で基礎をしっかり学んだほうがいい
  • 大企業のほうがブランド力があるから転職に有利になる
  • (発信者の周りに)ベンチャーから大企業に転職した人がいない

大手で学ぶという基礎とはどんなもので転職時にどう活かされるのか、ブランド力で採用をするメリットは何なのか等があいまいだったりしますし、感覚的にもどれもピンときません。

事実としてあることだけで言えば、企業は新卒採用に比較して中途採用枠が少ない、というのはありそうです。

新卒では年間100名を採用する大手であっても、中途では年間10名も採らない会社や、そもそも中途採用自体を行っていない会社もあります。
採用される枠、という観点で見れば、確かに大企業への転職は新卒で採用されるのに比較して難しいとはいえそうです。

ただ、それは大企業→大企業の転職でも同じことが言えるのでベンチャー→大企業への転職が難しい理由にはなっていません。

ベンチャー→大企業は難しいという言説の正体

根拠があいまいで、感覚的には何となくおかしいような感じもしますが、そうはいっても確かにベンチャー→大企業への転職は難しいと思われている風潮がありますし、そういったキャリアの人にあまり出会わないような気もします。

ここからは根拠も何もない持論なのですが、この言説が広まっている最も大きな理由が、
ベンチャー企業で活躍している人は大企業に転職したいと思わない
からなんじゃないかと思っています。

ベンチャー企業で活躍できているのであれば、責任ある仕事を任されてやりがいを感じているでしょうし、実力主義で評価されて給与もそれなりにもらっていることでしょう。そういった人がわざわざ大企業に行く理由があまり見つかりません。
一方で、ベンチャー企業で活躍できておらず安定した大企業へ転職したいと思ったときに、活躍してないので選考で落とされる&そもそも大企業の中途の枠が少ない、という理由から中々転職できずにいる、ということが考えられます。

大企業/ベンチャー、活躍している/活躍してないで分けると下記のとおり。

大企業/活躍している…ベンチャー企業へ転職する人もいる
大企業/活躍してない...転職しない?
ベンチャー/活躍している...大企業へ転職する理由がない
ベンチャー/活躍してない...大企業へ転職したくても中々できない、したとしてもあまり目立たない

 

上記が正しいとすると、大企業→ベンチャー企業へ転職する人は活躍しているので目立ち、ベンチャー→大企業へ転職している人は活躍してないので目立たず、発信力もない = ベンチャー→大企業への転職は難しい、という流れでこの言説が成立しているのではと思っています。

結局はその人しだい

当たり前中の当たり前の話ですが、どんなハコの会社に入ろうがその先のキャリアがひらけるかどうかはその人の頑張り次第です。主体的に動いて濃い経験を積むことができていれば大企業でもベンチャー企業でも活躍することができます。

それであれば、濃い経験を積みやすいほうを選んでみてはいかがでしょうか(結局最後はポジショントークに)