モチベーションが下がるのはプロ失格?!
DeNAの南場さんの下記の記事、たくさんの方が読んでいるようです。
南場さん曰く、
もちろん体調やパーソナルな事情で、仕事に向けてテンションを上げにくい時もあるでしょう。でもそれは口にしてはいけないことではないでしょうか。打席に入ったプロ野球の選手が、「今日はモチベーションが上がらないなぁ。打つ気が起きない...」などと言ったらプロ野球人生は終わりです。ビジネスパーソンもほかの職業も、報酬をもらっている以上、その厳しさを持つべきと考えます。これがプロフェッショナリズムの基本です。
とのこと。
うーん、正論も正論、ド正論です。モチベーションを言い訳に成果が出せないなんて言い訳でしかありません。
マネジャーにとっては必須のモチベーションマネジメント
南場さんの言葉は「仕事哲学」の連載企画なので「プロたるもの~」というスタンスで語っており、それを1人のビジネスパーソンとして受け止めると100%同意します。ですが、そこに「マネジメント」の視点を加味すると違った考え方が必要になってきそうです。
チームマネジャーや経営者が「モチベーション下がるとか言うのはプロ失格だからしっかり働け!」と言ったところでメンバーがしっかり働いてくれるとは限らないからです。
チームメンバーの力を最大限活かして成果を出すのがマネジャーの仕事だとするならば、「モチベーション下がるとか言うのはプロ失格だからしっかり働け!」とモチベーションマネジメントを放棄することこそプロ失格なわけです。
そこで今回の記事ではモチベーションの本当の意味について考えてみました。
モチベーションの本当の意味
日常的には、モチベーション = やる気 の意味で使われることが多いと思います。間違いではないのですが、より正確な意味を捉えるために語源を調べてみましょう。
(何となく意味が通じる言葉のニュアンスを知るには語源や元の使われ方をみると理解しやすいです)
モチベーションの語源 = 動かす(ラテン語 movere = moveの語源)
調べてみると、ラテン語のmovereが語源のようです。そこから更に「mot-」に連なる英単語を生み出し、その派生で「motivation」が生まれたようです。
<mot-に連なる英単語>
- motion...動き、動作
- motive...動機、目的、原動力となる
- motivative...動機を与える、行動に駆り立てる
- motivation...動機付け、刺激、やる気
こうしてみると、何となくモチベーションの本来的な意味が分かってきます。
「今日は雨だからやる気出ないなぁ」という風に気分の上がり下がりで使われるというよりは、目的への原動力や自分を駆り立てる力、やらずにはいられなくなる根源の何かというニュアンスがあるようです。「コレがあるから頑張れる」「コレを目指しているから頑張れる」という表現が近いかもしれません。
一方、「今日は雨だからやる気が出ないなぁ」というときのやる気は、南場さんの言葉を借りて「テンション」とでもしておきましょう。
(言葉の意味まとめ)
- モチベーション = 動機づけ、自分を駆り立てる力、やらずにはいられなくなる根源となる何か。そう簡単に上下するものではない。「モチベーションの源泉」という使われ方も。
- テンション = その日の気分で上下するやる気
マネジャーがマネジメントすべきはテンションではなくモチベーション
こう考えると、マネジャーが着目すべきはテンションではなく、モチベーションのほうだと分かります。
人間ですから、テンションが上がるとき・下がるときがあって当たり前です。その是非を問うても仕方ないですし、マネジャーが管理できるものでもありません。
短期的なテンションの上がり下がりではなく、もっと根本的なメンバーのモチベーションの源泉(=自分を駆り立てるもの、何を大事にしているのか、何を目指しているのか)を把握し、それが会社や仕事とどう重なるかを示し、同じ方向を向けるように支援する必要があります。
実際にメンバーのモチベーションマネジメントどう行うかは別の機会に譲りますが、「モチベーションが下がるなんて甘えだ!」と思考停止になるのではなく、言葉の本来的な意味を考えて必要な支援を行うことこそ、マネジャーのプロとしての責務でしょう。
(繰り返しになりますが、マネジャーとしてではなく1人のビジネスパーソンとしては南場さんの意見と同様に「モチベーションが下がるなんて甘えだ」と思ってます。それとマネジメントは別問題)