なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

オワハラよりも悪質?!知られざる退職時の嫌がらせ

セクハラでもパワハラでもない、退職ハラスメント

セクハラ・パワハラ・モラハラ等、数多くの「○○ハラスメント」があります。
昨年流行った(?)のがオワハラ(就活終わらせろハラスメント)ですが、今日はそれよりももっと悪質な退職ハラスメントについて考えてみたいと思います。

退職ハラスメントとは、退職を申し出た際に会社から何らかの嫌がらせを受けることです。

私自身、転職エージェントと人事での経験を合わせて100名あまりの退職・転職を見てきましたが、実に多くの人(体感では半数近くの人)が何らかの退職ハラスメントを経験しているようです。その種類と実態についてまとめてみました。

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退職ハラスメント(嫌がらせ)の種類

1.過度の引き止め

おそらく一番多いのが、過度の引きとめ・慰留です。
会社にとって必要な人材だからこそ引き止められるのでしょうから、引きとめられること自体は一概に悪いこととは言えないかもしれませんが、行き過ぎると立派な(?)ハラスメントです。
よくあるのが下記の2つ。

  • 複数回にわたって慰留のための面談が行われる
  • 後任が見つかるまで/仕事が落ち着くまではいてくれと頼まれる

難しいのは、退職する側も会社に迷惑をかけて申し訳ないという気持ちがあるため、これらのハラスメントを無下に扱うことができないことです。特に責任感の強い人/優しい人ほど。

憲法で職業選択の自由が定められており、法律では2週間前に退職を申し出れば問題なく退職できます。どんなに会社から強く引きとめられても、それに従う必要はないのです。
とはいえ、2週間では引継ぎするのにあまりに短いでしょうから、常識的には会社と話し合った上で、退職を申し出た日の1ヶ月~3ヶ月後に退職、というのが一般的でしょう。

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2.退職日の前倒し

1の逆で、退職を申し出たらその会社として最短日を退職日に指定される、というハラスメントもあります。信じられないような話ですが、辞める人に払う給料はないからできるだけ早く辞めてくれ、という会社もあるのです。
このハラスメントにあうと、3ヵ月後に辞めようと思っていたのに2週間後に辞めることになってしまった、なんていう悲劇も起こります。

退職日の前倒し要求は、不当解雇に近い法律違反なので訴えればおそらく勝てるのでしょうが、そんな面倒ごとを起したくないと考える人が多いことから、泣き寝入りになってしまうことが多いようです。

3.退職を理由とした不当な扱い

2と同じ発想で、どうせ辞めるんだからと不当な扱いを強いる会社もあります。
例えば、

  • 退職を理由に低い評価をつける/給与を下げる
  • 賞与を支払わない
    (退職を決めた人は賞与を受け取らないという慣習の会社があるとか)
  • 有給休暇を消化させない

などなど。これも泣き寝入りする人が多いようです。

4.嫌がらせ

最も幼稚かつ厄介なのが嫌がらせです。上記1~3はハラスメントをすることによる会社側の意図が見えますが(それでも許されるものではないですが)、嫌がらせに関しては受ける側はもちろん、する側にも腹いせ以外のメリットがない、皆が不幸になるハラスメントです。

「今まで世話してきたのに辞めるなんて、何の恩義も感じていないのか」「忙しいこの時期に辞めるとは非常識だ」などの言葉による嫌がらせから、辞めるときは社長に土下座して謝らなければならないというおかしな慣習、ヒドいのになると、転職先に圧力をかけて転職できないようにする、なんて話しもあるようです。

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中々表に出てこない退職ハラスメントの実態

これだけたくさんのひどいハラスメントが横行しているにも関わらず、中々表に出てこない退職ハラスメント。

表に出てこない一番の理由は、波風立てずに退職したいという退職者の心遣いが逆手に取られているからです。

自分が退職することで会社に何らかの迷惑をかけるであろうことに負い目を感じ、多少無茶なことを言われたりされたりしても泣き寝入りしてしまう…それゆえに中々表沙汰にならないのでしょう。

引継ぎもせずに不義理に辞めていいということでは全くありませんが、しっかり義理を通して全うな退職手続きをふんだうえで会社にハラスメントを受けたのであれば堂々と抗議/抵抗してもいいかもしれません。