なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

会社説明会での質疑応答の満足度を高める方法

就職活動も本格化して数か月。多くの企業が会社説明会を実施していることと思います。
今日は、会社説明会で必ずといっていいほどあるコンテンツ「質疑応答」の満足度を高めるちょっとした工夫について人事目線でお話しします。

就職企業説明会での質疑応答の問題点

よくある説明会では、一通り事業内容や仕事内容を説明したあとで、「それでは質問のある人は手を挙げてください」と質疑応答の時間をとることが普通です。

こういった質疑応答の時間を設けることは、企業側が一方的に説明するのではなく学生の知りたいことにも答えようという姿勢として良いと思うのですが、有効に機能させようとすると中々難しいものです。
従来型の質疑応答には、ざっと下記のような問題点が考えられます。

中々質問が出てこない

【人事】
「それでは質問のある人はどうぞ。聞きにくいことでも答えますので、どんな話題でもかまいません」

【学生】
しーん…

 人事として一度は経験するこの場面。辛いですよね…。あまりの沈黙に耐えきれず、こちらからベラベラ話してしまって更に質問しづらい空気になるという悪循環に陥ってしまったりします。

やはり、「挙手制で」「人事と学生に注目されている中で」質問をするというのはかなり心理的ハードルが高いものです。

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しょうもない質問をされる

沈黙がしばらく続いたあと、やっと出てきた質問が「初任給はいくらですか?」などのようなHPを見れば書いてある類の質問でがっくりきてしまうこと、ありますよね。
せっかく質問してくれたので邪険に扱うこともできず丁寧に答えますが、その時間は他の学生にとっても無駄な時間になってしまったりします。

突っ込んだ質問ができない

社員 ⇔ 学生 での質問だと、中々突っ込んだ質問をしづらいです。
社員が答えた質問をもっと深堀りしようと思っても、空気的にしづらかったり周辺知識がないと突っ込んだ質問ができなかったりと。

結果として、

【学生】
「仕事のやりがいは何ですか?」

【社員】
「お客様にありがとうと言われるとやりがいに感じます」

【学生】
「ありがとうございました」

などの浅~いやりとりだけで質疑応答が終わってしまうことがままあります。

1人がずっと質問し続ける

1人がすごく積極的で、他参加者がそうでもない場合にありがちです。1人の学生がずーっと質問をしてしう状態。何とな~く、空気が変になりますよね。
せっかく積極的に質問してくれていた人も、自分ばかりの質問が続いたことに引け目を感じて、まだ聞きたいことがあるのに遠慮してしまったりして、誰も得しない状況になっちゃったりします。

ふせんを使って説明会の質疑応答の満足度を高める

普通のやり方で質疑応答の時間をとると、このようにいくつかの問題があります。
そこで最近実践しているのが、ふせんを使って質問を集め、ふせんをもとに社員が質問する手法。

説明会開始時にふせんを配り、「質問・疑問はふせん1枚につき1つ書いてください。説明の途中で集め、最後にその質問にまとめて回答します」と伝えます。

あとは集めたふせんをもとに、社員Aが社員Bに対してひたすら質問をするだけです。

この手法を取り入れることでのメリットは下記のとおり。上記で挙げた問題点を全て解決してくれます。

  • 挙手制よりも質問のハードルが低くなり、たくさん質問が出てくる
  • どの質問に回答するかは社員が選択できるので、HPに載っている情報やあまりに的外れな質問にかける時間を省くことができる
  • 社員が代わりに質問することで、より突っ込んだ回答を引き出すことができる
  • 社員同士の掛け合いから、社風・雰囲気が伝わる

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この手法を取り入れると、先ほど例にあげた浅いやりとりで終わってしまった質疑応答を下記のように突っ込んだ内容にできます。

【社員A】
「仕事のやりがいは何ですか?」

【社員B】
「お客様にありがとうと言われるとやりがいに感じます」

【社員A】
「最近、いつどんなときにありがとうと言われたのですか?」

【社員B】
「先週、1年間担当していたクライアントの担当者が年間マーケティング目標を達成したという報告があって、すごく感謝されました」

【社員A】
「なるほど、それはうれしいですね。どのように工夫して目標達成できたのですか?」

【社員B】
「担当者の課題や悩みを丁寧に聞いていって、ウチが扱っているサービス以外にも喜ばれそうな情報や施策を提案し続けた結果です。何かあるととりあえず相談してもらえるくらい信頼関係を築けていたので、お客さんの目標達成は本当に嬉しかったですね」

【社員A】
「なるほど、ありがとうございます。そのことに関連した次の質問ですが...」

 このように、会話をしながら質問を掘り下げ、かつ次の質問が関連したものにすることで、質疑応答がストーリー仕立てになり聞く側も楽しく集中して聞けるようになります。

一方で、デメリットというかリスクもあります。

  • 質問すべてに回答できるわけではないので、フォローが必要。
  • どの質問をどういう順番で聞くかの選択、質問の仕方、適度な脱線、タイムコントロールなど、質問者にスキル/経験が求められる(ココがイマイチだと逆効果になる)。
  •  質問者と回答者の関係性や空気感が良くも悪くも露わになる。ギクシャクした感じになると逆効果。
    (私が学生のときに参加した会社説明会で、明らかに仲の良くなさそうなおじさん上司と若手社員のやり取りを見て志望度が下がったことがありました)

このように、質問者と回答者のスキルや経験が必要になってきますが、うまくやれば本質的かつ効果的な質疑応答の時間を設けることができ、学生の満足度を高めつつ自社のアピールをすることができます。

会社説明会で普通の質疑応答の時間を設けている方、ふせんを使った質疑応答システムを試してみませんか?