Yahoo!が新卒一括採用を廃止
Yahoo!Japanが新卒一括採用を廃止することが大きなニュースになりましたね。
新卒一括採用の是非については10数年も前から議論されてきていますが、言葉ばかりが独り歩きをして結局が何がどうなるのかよく分からなくなることが多い話題でもありますが、Yahoo!が理想論ではない現実的かつ日本らしい落としどころを示してくれたように思います。ここでは、新卒一括採用廃止とは具体的にはどんな事象をさすのか、Yahoo!の施策はどんな意味と影響を及ぼすのか、整理してみようと思います。
1年ほど前に論点をまとめた記事は下記です。
新卒「一括」採用は廃止しても、新卒採用はなくならない
まず、Yahoo!が発表している新卒一括採用廃止のポイントは下記のとおりです。
- 新卒、第二新卒、既卒など経歴に関わらず30歳以下であれば応募できる「ポテンシャル採用」を新設する
- ポテンシャル採用の選考時期は通年(1年中)とする
- ポテンシャル採用のうち、就業経験者はいつでも入社でき、就業未経験者は4月or10月に入社とする
採用対象に「新卒」も含まれているとおり、新卒採用自体をやめるわけではないようです。「新卒一括採用廃止」という言葉から、新卒のポテンシャル人材を一切採らずに即戦力のみを採用するようになる、と認識している人もいるかもしれませんが、実態はまったくの逆で、ポテンシャル人材をもっと採用したいという意思表明なのです。
新卒を含めたポテンシャル採用という考え方が一般的に
Yahoo!のポテンシャル採用のように間口を広げることで、これまで新卒一括採用のレールに乗らなかった下記のようなポテンシャル人材を採用できる可能性が広がります。
- 留学等何らかの事情でで日本の一般の就職活動時期に就職活動できなかった人
- 3月以外の卒業予定者
- 卒業後すぐには就職しなかった人
- 就職したものの、大きくキャリアチェンジしたい人
こういった人材の採用は今では決して珍しいものではなく、就職活動時期や入社時期の柔軟な対応は中小・ベンチャー企業を中心に増えてきましたし、他企業に就職した人材のポテンシャル採用は第二新卒市場として一般的になりつつあります。
Yahoo!のような影響力のある会社がこうして大々的に宣言することで、今後は他大手企業も追随する流れがおきそうですね。
新卒採用がなくなるのではなく、新卒以外のポテンシャル人材も採用していこうという風潮になっていくと思います。
欧米に近づいているわけではなく、むしろ日本式採用の延長と発展形
新卒採用の話題になると必ず、「新卒一括採用なんて時代錯誤なことをやっているのは日本だけだ、欧米を見習え」という論調の方が必ず現れます。今回のYahoo!の新卒一括採用廃止のニュースについても、ようやく日本的悪習から脱却した、という見方をしている方も多くいらっしゃるようです。
欧米のやり方のほうがいいかどうかはここでは置いておきますが、実は今回のYahoo!の新卒一括採用廃止は、欧米に近づいたわけではなくむしろ極めて日本的な採用思想に基づいたものだと私は捉えています。
欧米では新卒採用・ポテンシャル採用という採用手法は一般的でないか、あっても極少数です。どんな経歴の人材であっても中途採用と変わらず募集ポジションの要件を満たすかどうか、という即戦力の発想が強いです。(国によるとか、最近はポテンシャル採用もしているとかのツッコミはあるでしょうがそのあたり触れると長くなるんで割愛します)
一方、日本の新卒採用は、ポジションありきではなく人ありきで採用して入社後に育てようという思想にあります。今回のYahoo!の取り組みは、そのポテンシャル人材の採用を更に促進しようという動きですので、まさに日本的な、採ってから育てるという思想に基づいた採用手法の発展形だと思うのです。
就職活動時期の見直しや一括採用の是非など、議論になりやすい新卒採用の話題ですが、今回のYahoo!の取り組みは、「自社にとって必要な人材をどう確保するのか」という企業視点と「進路決定までの多様な選択肢を持ちたい」という求職者視点がかみ合った、現実的な落としどころなのだと感じました。
私の働いている会社、フィードフォースでも就職活動時期や入社時期を柔軟にポテンシャル人材を採用しています。興味のある方は是非ご連絡ください!(恒例のステルスされてないマ)