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なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

年度末の人事評価はもう時代遅れなのかもしれない

年度末の人事査定は時代遅れ?!

グローバルな先進企業の取り組み、有識者の見解、いくつかの文献と自分自身の体感値を合わせて、今後は半年や1年に1度の人事査定はなくなっていく流れになるのは間違いなさそうです。
今後、この流れを日本企業で・自社でどう取り入れていくかを考えるために現時点での私の考えをまとめてみました。

国内の本では下記を読めば潮流がある程度つかめます。

GEの9ブロックも廃止されていた!

人事査定といえばGEの9ブロックがまず思い出されます。分かりやすくてシンプルな仕組みで一世を風靡した9ブロックも気づいたら廃止されていたみたいです。他にも、マイクロソフト、デル、アクセンチュア、GAPなども先立って年次の評価制度廃止の流れなんだとか。

wirelesswire.jp

年度末の人事評価が機能しなくなる理由

1940年代から始まったとされる人事評価が何故廃止されつつあるのか。その理由とポイントを自分なりに3つにまとめてみました。

理由①:過去の評価・フィードバックが意味をなさないほど変化のスピードが速くなってきた

人事査定・人事評価は言うまでもなく過去の一定期間を評価するものです。その一定期間中の働きぶり・会社への貢献度などから評価・フィードバックを行うことで従業員の成長支援・動機づけを行うことが本来の目的のはずです。

しかし、現代のような変化が激しい経営環境においてはそういった過去へのフィードバックがうまく機能しないように思えます。

上司「あなたの3か月前の仕事に問題があったので改善してほしい」
部下「はぁ、頑張ります(今は全然違う仕事してるんだけど)」

なんてことも平気でありえます。

先進企業の取り組みや有識者の発言には「過去の成果よりも現在の成長支援・業務支援のほうが重要だから」という意見が多くみられるのは、前提として環境の変化の速さがあるように感じています。

逆に言えば、変化が少なく年次の振り返りフィードバックが次年度の業務に活かされるような環境下であれば、まだまだ年次評価は有効なのだと思います。

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理由②:継続的日常的なメンバー支援の重要性が高まっている

変化が激しく、半年や1年に1度のフィードバックではメンバーの支援がしづらくなっている現代では、継続的日常的なメンバー支援の重要性が高まっています。

Yahoo!を筆頭にマネジャーとメンバー間の1on1 Mtgを短いスパン(週1~隔週)で実施する企業が増えているのはこの流れですね。私の会社でも1年半ほど前からすべてのマネジャー⇔メンバー間で1on1を実施しています。

↓ついに1on1の書籍も出ましたね!↓

過去の一定期間の成果を評価してモチベーションを高めるのではなく、現在の業務支援・成長支援を継続的に行うほうが合理的という考え方は変化の速いIT企業を中心にどんどん広まっているようです。

理由③:マネジャーの負担が大きすぎる(しかも報われない)

メンバーの評価をつけたことのあるマネジャーの方なら実感いただけると思いますが、メンバーの評価をつけることはマネジャーにとってものすごく大変です。
評価期間中のメンバーの成果・勤務態度を思い出しながら不公平にならないように評価をつけます(期初に立てた目標が途中で変わっていることもしばしば)。そうして苦労してつけた評価結果をメンバーの志向・性格に合わせてフィードバックを行います。
メンバーの成長と給与に関わるものですから適当につけるわけにもいかず、苦労して評価をつけてフィードバックを行ってもそれが正しいものだったのかは誰も教えてくれません。業務の特性上他者からのアドバイスも受けづらく、改善もしづらいです。

しかも、これだけ苦労して評価とフィードバックを行っても理由①で書いたとおりメンバーの納得感は得づらく、メンバーからしても昔の仕事のフィードバックを受けても今後の仕事にどう活かせばいいか分からなかったり。報われませんね。

やはり、変化の激しい現代においては半年や1年ごとに評価をつけていくということ自体に無理がきているのかもしれません。

 

以上の3点が、私が認識している人事評価廃止の理由とポイントです。
有識者の見解では、上記に加えて「人事評価はチームワークを阻害する」という論調もあるようですがそれについては私は懐疑的で、企業文化や制度の設計・運用で避けうるものであって、人事評価自体が持つ問題ではないのではと考えています。 

継続的日常的メンバー支援と矛盾しない制度設計を

こうして書いてみると、年次の人事評価とメンバーの継続的日常的支援は完全に相反するものではなさそうです。

ただ、経営からの人材マネジメントのメッセージとして、過去を評価する人事評価と現在の業務支援・成長支援を行うことを同時にメッセージングすることは難しく、結果として人事評価は廃止という流れになっているのだと思います。
特にGEの9ブロックなどは制度が誰の目にも分かりやすいだけに、

  • 過去への評価なので今の成長につながりにくい
  • メンバーのランク付けに重きが置かれる(ように見える)

という負の側面が目立ち、現在の業務支援・成長支援をしていくというメッセージがぼやけるために廃止されたのだろうと想像しています。

人事評価を完全廃止するにしてもしないにしても、従業員の給与は何らかの方法で決定しなければなりませんから、メンバーの継続的日常的な業務支援・成長支援を行うというメッセージングと矛盾しない制度設計と運用が肝要なんだと思います。

まだまだ、各社試行錯誤している段階で理論もベストプラクティスもまとまってないようなので、各社ごとの勝ちパターンを見つけていくしかなさそうですね。
いつか、日本企業での事例共有会とかをしたいものです。

 

 (関連記事)

継続的日常的メンバー支援を前提としたシステムを探しているので書いた記事

nabeharu.hatenablog.com