なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

魅力的な求人原稿とは何かを言語化してみる

魅力的な求人原稿の書き方が分からない

中途採用を始める際、必ず自社HPや求人サイトに求人原稿を掲載するかと思います。
あるいは、転職エージェントやハローワーク等に求人票を提出することもあるでしょう。
これらの、求人原稿・求人票を魅力的に書く方法、皆さんはご存知でしょうか?
恥ずかしながら、私は7年以上人事の仕事をしているにも関わらず、よく分かっていませんでした。ぶっちゃけて言うと、これまで「何となく」でやっていました。

このままじゃいかんなー、という気持ちもあり、現時点での私なりの「イケてる求人原稿」とはどんなものかを言語化してみます。
あくまで現時点での私の考えなので、ご意見などあれば是非教えてください。

ちなみに、AIで求人票を採点してくれる「Findy Score」というサービスがあります。適切な文章量や箇条書きの数、不適切な語句を使ってないか等をチェックしてくれるのでオススメです。

findy.us

私の会社では、とりあえずFindy Score を通して指摘された箇所を修正し、80点以上になってから公開するというフローにしています。

とはいえ、Findy Score でできるのはあくまで機械的なチェックのみで、自社の魅力が適切に表現されているかまでは分かりませんので、そこは人の力で行う必要があります。

下記は、私なりに考えた、魅力的な求人原稿の条件です。

ペルソナが明確になっている

当たり前のことですが、ターゲット人材が変われば伝えるべきことが変わります。
最低限、下記項目を明確にしておく必要がありそうです。

  • どんな企業で働いていて、どんな仕事をしているか
  • 何を仕事のモチベーションにしているか
  • 想定される転職理由は何か

特に想定される転職理由を具体的にイメージできているかが重要です。
「大企業のマーケティング部門で実績を上げてきて仕事も収入も満足しているけど上が詰まっているのでマネジメント経験を積めるのは5年以上先になりそう」
とか、
「独学で技術力を身につけた結果、社内で一番技術に詳しくなり頼られる存在になった。好きな仕事はできているけれど今後のスキルアップに不安。自分よりもレベルの高い人と技術についてディスカッションしながら仕事をしたい」
とか。
候補者のキャリアと心情に合わせて自社の勝負できる要素を結び付けられているかがポイントです。

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ペルソナによって求人を分ける

同じ職種の求人であっても、ペルソナが複数になる場合があります。
その場合は、無理に1つの求人にまとめずに複数に分けて求人原稿を作ったほうがよさそうです。複数のペルソナを想定して記事を書いても、結局誰にも伝わらない原稿になってしまいます。

最近の求人サイトは複数記事を出せるタイプのものが多いので、使わない手はないですね。

募集背景がストーリーとして伝わってくる

ペルソナを定めたところで、いよいよ書き始めましょう。
多くの求人原稿のトップ(一番最初に読むところ)には募集背景を書く欄があります。最初に読む重要な箇所にも関わらず、割と無機質に書いてある場合が多くあります。

募集背景の項目では、何を目指しているチームで、どんなことを成し遂げたくて、そのために今どんな状況で、だからこういう人を募集している、と募集の背景がストーリーとして伝わってくると興味を持ちやすいように思います。

悪い例)
事業好調のため人事部を増員します
欠員がでたため補充します

良い例)
"●●"というミッションを実現するために年間で新卒●名、中途で●名採用する必要があります。
現状、人事部は2名おり、1名は中途採用専任。もう1名は新卒採用担当業務と制度企画、教育研修などを兼任している状況です。更なる組織の発展のためより採用を強化するために、新卒採用専任担当者を1名探しています。

この、「募集背景をストーリーで」という点で一番すごいなと感じたのはdivさんの下記の求人。分かりやすいし面白いし、思わず応募しそうになっちゃいました笑。

www.wantedly.com

仕事内容・求める人材・配属先の環境の記載が具体的でイメージがわく

普通に求人を書くとどうしても表現が抽象的になりがちですが、具体的な表記のほうが仕事のイメージが湧きます。

仕事内容

その仕事を通じて成し遂げてほしいこと・期待したいこと・仕事の内容等が できる限り具体的に記載されていると、求職者が自分にマッチしそう/しなさそうという判断をつけやすくなります。

(悪い例)
新卒採用に関する業務全般を担っていただきます

(良い例)
新卒採用活動を通して会社のミッションを達成できる組織を作っていくことを期待します。
「求める人材像の設定」「採用コンセプトの策定」などの企画立案から、「採用イベント登壇」「候補者との面接・面談」「面接調整」など幅広くご担当いただきます。
現在の主な集客方法は逆求人イベント、ベンチャー企業合同セミナーなどですが、その手法に固執していません。より良い手法を自分で企画し、どんどん提案してください。
新卒採用業務以外にも、教育研修や人事制度の企画・整備など、希望しだいで他の人事業務に携わるチャンスもあります。

任せたい仕事の他に、今後のキャリアの広がりについて言及するのも良さそうですね。

求める人材(必要なスキル・経験)

求める人材についても、具体的な表現にできると更に仕事のイメージが湧きやすくなります。

(悪い例)
・新卒採用の実務経験

(良い例)
・採用戦略から企画、立案、実行の経験
・候補者との1対1での魅力付け、クロージングの経験
・構造的面接の実施経験

新卒採用の実務経験だけではざっくりし過ぎているので、こう書いたほうがマッチした人材が応募してくれそうです。

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配属先の環境

入社したらどんなチームで、どんな環境で働くのかも具体的な表現にできると更に良いです。
ついつい、「風通しの良い社風です」とか抽象的な表現使っちゃいがちなので注意が必要です。

(悪い例)
風通しが良く、なんでも言える環境です

(良い例)
人事部は2名で構成されています。
◆マネジャー 30代 男性
制度企画・教育研修・新卒採用を担当
◆メンバー 20代 女性
中途採用を担当
◆今回の募集ポジション
マネジャーから新卒採用業務を引き継いでいただく予定です

採用管理システムにTalentio、タスク管理にBacklog、社内コミュニケーションにはSlackとQiita:Teamを利用しています。業務を効率化できるツールは積極的に活用していきます。
隔週でマネジャーと1on1Mtgを行い、業務支援・成長支援を行っています。

利用しているWebサービスの記載があると、職場の具体的なイメージがわきやすいですね。

求人原稿は自社の社員が書くべき

最後に。色々書いてきましたが、私自身もまだまだ勉強中で、とりあえず今思っていることを言語化したにすぎません。

ただ1つ言えるのは、求人原稿を書くという仕事は非常にクリエイティブな仕事であり、外注するべきではないということです。
ペルソナの設定・自社の魅力の整理・求職者の求める情報と自社の資源の接点を探して表現する...など、どれも自社の社員でなければできないことです。また、内容は日々改善していくものでもあります。

求人サイトによっては執筆代行サービスがあるところもありますが、長期的に見れば自社の社員が書いてノウハウを資産として貯めていったほうが良いように思います。

 

それにしても、「魅力的な求人原稿の書き方」って全然情報がないんですよね。各社のノウハウを聞いてみたいものです。