なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

新卒で人事に配属されないほうがいい

人事部は人気部署?

4月です。

新入社員の配属と異動の季節ですね。

この記事によると、社会人1年目、2年目の配属希望では人事部が3位のようです。

ちなみに1位は総務部。うーん、意外ですね。

で、実際学生や若手社員と話をしていても、人事希望だという人は多く、実感値としても人気職種なのは間違いないようです。

なお、ココでいう「人事やりたい」は90%が「採用やりたい」とイコールです。

それ以外の教育やら労務やら制度やら年金、退職金やらはスルーで、イメージだけで希望しているわけですがそこに触れると長くなりますのでココでは置いておきます。

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新卒ですぐに人事に配属されないほうがいい

持論なのですが、新卒ですぐに人事に配属されないほうがいいと考えています。

論理的なものではなく、感情的かつ昭和な発想ではあるのですが。

ココでは、新卒後すぐに人事に配属されることの弊害をあげます。

顧客と本気で向き合う経験が積めない

どんな会社に入ろうとも、どんな職業に就こうとも、顧客と本気で向き合う経験というのは必須だと考えています。

  • 顧客は何を課題と捉えているのか
  • 何故自分に発注してくれたのか、してくれなかったのか
  • 何故喜んでくれたのか、喜んでくれなかったのか

現場での実務経験がないと、これらの経験をリアルな体験として積むことができません。

顧客の課題はコレだなとか、こういう営業をすると発注してくれる、など知識として知っていても、実態の経験として積んでいるのといないのとでは大違いです。

本気で頭を下げる経験を積めない

1つめと同じ考え方なのですが、ビジネスの最先端の現場で活動していれば、どんな人でも必ず何かしらの失敗をします。

顧客と本気で向き合っていれば、心の底から謝罪の気持ちがわいてきます。土下座したくなる心境になることもあるでしょうし、実際に土下座したことのある人もいるでしょう(私もあります)

逆に、心から顧客に感謝し、足を向けて寝られない、という心境になることもあります。

人事として仕事をしていると、なかなかこの経験ができません。

人事部員が向き合う利害関係者は以下のとおり。

  • 自社の社員(顧客ではあるけれど上記のような関係性にはなりづらい)
  • 自社の経営者(同上)
  • 人材サービス提供会社(こちらが発注側なので逆に頭を下げられる)
  • 求職者、応募学生(顧客という見方もできるが、お金をいただくわけではない)
  • 学校関係者(営業に行くという意味では顧客だが、先方からしても自学校の学生を採用してもらいたいので頭を下げてくる)

このとおり、実際のビジネスの現場での関係性は築きづらいのが人事担当者です。

ともすると、利害関係者のほとんどが頭を下げてくることから、「自分は偉いんだ」と勘違いしてしまうリスクすらはらんでいます。

自信を持てない

上記2点について、新卒で人事に配属された人はおぼろげながら感じているはずです。

だからこそそれが負い目になって、採用・研修その他の場所での発言に自信と実感値が伴わない。当然できる活躍も限定的になり、キャリアも成長もこじんまりとしたものになってしまう。。。ということがありがちです。

現場の経験がない→自信が持てない→存分に力を発揮できない→ますます自信が持てない

という悪循環に陥ってしまう可能性もあります。

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新卒後すぐに人事に配属されている人はどうするべきか

ここまで書いておいてなんですが、新卒で人事に配属されている人でもデキる人はたくさんいます。

逆に、現場での経験を十分に積んでから人事になった人でもイマイチな人もたくさんいます。

この経験がないと絶対ダメ、ということではなく、どの経験でも主体的に取り組んで自分の糧とできるかどうかが一番です。

だからこそ、現場の経験がなくてイマイチ自分の仕事に自信を持てない方は、以下のことを実践して自信をつけていただきたいです。

社外の人と積極的に関わる

特に大企業勤務の人事の場合、普段接するのが人事部の同僚のみ、なんてこともままあります。

極めて狭い世界の、極めて狭い範囲内の人間関係しか経験せずに自社を客観的に見ることは不可能ですから、社外の人、それもできるだけ様々な業種・職種・年齢の人と積極的に関わるようにしましょう。

顧客の気持ちを考える、知る努力をする

直接経験をしていないにしても、顧客の気持ちを推し量ることはできます。

顧客の気持ちを知る努力を必ずしましょう。自分だけでは難しいようであれば、自社の社員に協力してもらい、営業やコンペに同行するなど、できるだけビジネスのリアルを体感しましょう。

自分の肩書きを外したときに何が残るかを想像する

例えば今日営業に来てくれた人材会社の営業マン、例えば昨日訪問した大学の教授。彼らは、あなたの何に期待して頭を下げ、丁寧に接してくれるのでしょうか。

それはきっと、あなたの「○○会社 人事担当」という肩書きにです。この肩書きがなくなったときもお付き合いいただけるほどの人間関係を築けているか、振り返ってみましょう。

 

人事を続けるにしろ、将来別の職種へキャリアチェンジするにせよ、上記3つを意識して人事としての経験を積むことはきっとプラスになるはずです。