キャリアセンター/就職課の方、キャリアコンサルタント、学生支援団体の方など、就職活動中の学生の相談を受ける立場の方なら、一度は受けるこの相談↓
「学生時代に大した経験をしてこなかったんで就活が不安なんですけど…」
この相談を受けたとき、皆さんはどう対応していますか?
「特別な経験をしてなくても大丈夫!」というアドバイスで本当にいいのだろうか?
プロがどう対応するのか興味があるので、学生の相談を受ける立場の方に会うと、
「こんな相談を学生に受けたらどうしますか?」
と質問をしてみるようにしています。
すると、たいていの方が下記のように応えるそうです。
「企業は特別にスゴい人だけを採用したいわけじゃないから大丈夫だよ」
「自分では大したことないと思っていても企業から見たら強みに見えることがあるから一緒に振り返ってみよう」
とても優しくかつ建設的でさすが学生支援をされている方だなぁ、と感心するわけですが、実際に採用の現場にいる身からすると少し違和感を感じてしまいます。本当にそれでいいのかな?
面接官はこれまでの経験を重視している
以前、下記の記事を書きました。
面接官は学生の経験・行動から自社にマッチしているかを判断している、という趣旨の記事です。
もちろん過去の経験だけで全てが決まるわけではなく、コミュニケーション・雰囲気・社風マッチング・経営者の勘など、様々な要素で採用が決定するわけですが、過去の経験が大事なことは間違いありません。
どこまでの行動レベルが求められるかは企業によって異なりますが、もし相談者の行動レベルが志望企業の求める行動レベルに達していない場合、どんなに面接の対策をしても採用される可能性はかなり低いでしょう。
それなのに「大丈夫」と言っていいのかな…と。
今から頑張れば大丈夫!
もちろん、学生支援の方もそんなことは分かっていてアドバイスをしているのだと思います。
「企業はスゴい人だけ採用したいわけじゃない」のは本当だし、「相談者が認識していない強みがあるかも」というのも本当です。「今からあがいても間に合わない」という現実的な視点もあるのかもしれません。
ですので上記のような対応をする方を批判するわけでは全くなく、私の好みの問題なのですが、もし私がタイトルのような相談を受けた場合、
「企業は何かを頑張った人を採用したいからダメかも。自信がないなら今から何か頑張ってみよう」
と答えることにしています。
そうすることで志望企業に合格しやすくなるかも、というのももちろんあるけれど、それだけではなくて。
現時点で胸を張って頑張ったと言える経験をしていない(少なくとも本人はそう認識している)人が、今から何かを頑張って”やり切った経験”をするのは絶対にその後の人生にプラスになると思うからです。
「あの会社に入りたい」とか「面接で隣になった人がスゴい人で自信なくした」とか「就活がとにかく不安」とか。きっかけは何であっても、「このままじゃダメなのかも」と気づいたことは一皮むける絶好のチャンスで、それを無駄にしてほしくないと思うのです。
実際には上述のとおり企業はスゴい人だけを求めているわけではないので、「このままでも大丈夫」なのかもしれませんし、逆に今から何かやったところで付け焼刃で面接ではアピールにならないかもしれませんが、それはそれでいいじゃない。
踏み出したその第一歩は、面接でのアピールにおいてはムダになっても、人生においては絶対にムダにはならないはずです。