大企業とベンチャー企業、どちらのほうが成長できる?
「会いに行けるベンチャー」で学生と面談をしていると、よくこの質問をされます。
大企業を辞めてベンチャー企業に勤めている身としてはノータイムで「ベンチャーのほうがいいよ!」と答えたい気持ちもあるのですが、そこをグっとこらえて、規模の違いによって社員の成長に与える環境要因がどこにあるのかを話すようにしています。
一般論として両者の違いを成長要因で大雑把に分けると下記のとおりでしょうか。
<大企業>
- 教育、研修がしっかりしている
- 長い目で見ればグローバルな活躍ができる
- 長い目で見れば金額の大きな仕事ができる
- 部署をまたいだローテーションで様々な経験を積むことができる
<ベンチャー企業>
- 若いうちから業務範囲が広い
- 若いうちから任される裁量が大きい
- 周囲に上昇志向の人が多く刺激になる
- 経営者の近くで働くことができる
上記のとおり、どちらの企業にも成長できると思われる環境要因があります。
結局のところ本人次第
そもそも成長とは何なのか、それはいつ時点での成長なのか、その人は何を目指したいのか...これらによって冒頭の問いの意味も答えも大きく異なってきます。
更に言うならば、入った会社での自分自身の取り組み姿勢のほうがどんな環境に入るかよりも10倍大事です。
DeNAの南場さんと元LINEの森川さんも対談で下記のように言っています。
自分の成長だへちまだなどという余裕がなくなるくらい必死になって仕事と相撲をとっている社員ほど、結果が出せる人材へと、驚くようなスピードで成長する
学生さんと話していると、「自分が成長できる会社を選びたい」という人が多いんですよね。もちろん成長はすべきだと思うし、考え方としては間違ってはいません。けれども、入社初日から給料をもらっている以上、プロフェッショナルとして自分を追い込んで成果を出すのが第一にすべきことで。
ベンチャー企業では、「早く成長してくれないと会社が困る」→ だから一生懸命育てる
成長に関する本質的な議論は↑の南場さんと森川さんの対談を見ていただくのがいいとして、ここからが記事タイトルのアンサーです。
ベンチャー企業と大企業での成長要因の違いがあるとしたら。
それは、ベンチャー企業には(大企業に比較して)余裕がないことだと考えています。
たいていのベンチャー企業が、成し遂げるべきビジョンを最速で達成するためにはどうすればいいかを真剣に考え、取り組んでいます。
そうなると必然的に、若い社員・社歴の浅い社員にも大きな仕事を任されるチャンスがまわってきやすいです。
そして当然、経験の浅い社員は任されたチャンスに対して力量が足りないのでその仕事を全うするためには自身が背伸びして成長する必要があります。意欲と周囲のサポートしだいで、今の力量以上の成果を出すこともできるでしょう。
これを会社目線で言い換えると、「早く成長してくれないと会社が困る → だから一生懸命育てる」と言えるのです。
ベンチャー企業は即戦力を求めるから入社させても教育しない、という論調をよく聞きますが実際は逆だと思っていて、上記のとおり即戦力になってくれないと困るからむしろ本気になって育てるというのが実態で、そうした取り組みの企業も増えてきていると感じています(育てる気もなく使い捨てにしているような会社がないとはいえませんが)。
もちろん大企業だって社員を一生懸命育てるわけですが、その違いはこの切迫性にあるのだと最近考えるようになりました。
この切迫性を良いと感じるかどうかも人それぞれではあるのですが、1つの参考としていただければ幸いです。