なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

長時間労働者にかけるべきは、まずは労いの一言であると思う

高まる長時間労働是正の意識

ノー残業手当」を支給する会社が出てくるなど、世の中の長時間労働に対する問題意識が日に日に高まっているのを感じます。

この流れには大いに賛成で、ただ長く働くことが美徳とされる時代は終わりを告げ、短い時間で高い成果を出すための工夫が様々な会社で行われていくことと思います。
ココで本質的にポイントとなるのは「生産性」という概念だと思うのですが、それについは下記の記事に譲り、ココではマネジャーとして、実際に長時間労働をしているメンバーへの気遣いについて思うところを書いてみます。 

nabeharu.hatenablog.com

無神経な「残業減らせ」はハラスメントになりえる

長時間労働是正の流れは今後も進み、マネジャーに対して自部門のメンバーの残業時間の削減を目標と課す企業も出てきそうです。

残業を減らそうとする施策自体は良いことなのですが、そのやり方には十分に気をつける必要があるように感じています。
具体的な改善案もなく、ただいたずらに「残業を減らせ」と追い立てるのはメンバーにとっては大きなストレスになるからです。
↓「ジタハラ」という言葉すら生まれつつあるようです↓

business.nikkeibp.co.jp

どんなメンバーだって、残業したくてしているわけではありません。仕事の成果のため、会社のために残業をしている人がほとんどです。
そんなメンバーに対して、
「何故こんな残業をしているんだ、もっと効率的に仕事をしろ。これからは生産性が大事なんだ。長く働いても誰も褒めてくれないぞ」
と責めてしまっては間違いなく心を閉ざしてしまうでしょう。
メンバーからしたら、会社のためと思って働いていたのにそのことを全否定されてしまうわけですから。
私にも経験があるのですが、そんな声のかけられ方をしたら、本当に辛いしやるせないし何ともいえない無力感と怒りがブレンドされた感情になってしまいます。あれは本当に辛い。

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まずかけるべきは、労いの一言

ただいたずらに「残業を減らせ」と指示しても残業は絶対に減りません。前述のとおり、メンバーはしたくて残業をしているわけではないのですから。
労働時間を削減するための具体的な方法をアドバイスできるマネジャーであれば良いのですが、そうではない場合は上記のようなジタハラが起こってしまいそうです。

とはいえ、これまで生産性を意識してこなかったマネジャーが、急に労働時間削減の具体案を出せるわけもありません。私自身も、今まさにその課題に直面しています。
それであれば、長時間労働者にまずかけるべき声は労いであるべきだと思うのです。そのうえで、どうすれば労働時間を削減できるかをメンバーと一緒に考えましょう。

良いことかどうかは別として、メンバーは会社のために残業をしてくれています。そして、その状態を改善できなかったのはマネジャーの責任です。
「長い時間働いてくれていてありがとう、お疲れさま。これからはどうすれば短い時間で成果をあげられるか一緒に考えましょう」と感謝と労いの声をかけてあげましょう。

長時間労働には労いの気持ちを、しかし評価はしない

ここで塩梅が難しいのが、長時間労働を労う気持ちは重要なのですが、「残業することはいいことではない」ことはハッキリと伝えるべきということです。
遅くまで残業している社員に「頑張ってるね」と声をかけてしまうのは残業を肯定することになり逆効果です。

長時間労働は良くない・評価しないという組織の方針を伝えることと、長く働いている個人への労いの気持ちを意識的に分けて伝えるのが重要のようです。
社会の労働時間に対する意識の変化が、これからマネジャーに求められる資質や能力も、大きく変化をもたらしそうです。日々勉強ですね。

まとめ

  • 残業すること・長時間労働はいいことではないと明確に伝える
  • それはそれとして、これまで長い時間働いたことを責めるのではなくまず労う
  • そのうえで、今後どうすれば長時間労働を改善できるかを建設的に話し合う
  • メンバーが長時間働いているのは100%マネジャーの責任とする