なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

新卒一括採用廃止が与える人事業務への影響

人事の皆さんこんにちは。
気づけば年末です。賞与計算に年末調整、採用イベントへの出展など人事にとっては忙しい季節ですね。

さて、先日私の会社で「新卒一括採用の廃止」を発表し、若手ポテンシャル通年採用に切り替えました。

workplus.feedforce.jp

ということでこの記事では、新卒一括採用の廃止により人事業務にどのような影響があるかを整理してみたいと思います。

多様な応募者に対応する

まず当たり前なのですが、一括採用を廃止することで採用の対象が広がります。
これまで特定時期に就職活動をしていた学生のみを対象としていたものが、通年で応募を受け付け、かつ既卒や第二新卒層へとターゲットが広がるのです。

注)"廃止"という言葉の印象から、新卒採用をやめると勘違いされることがありますが、廃止は"採用"ではなく"一括"にかかっています。実際には採用活動を拡大する意図です。
そのあたりのまとめは下記記事を参照のこと

nabeharu.hatenablog.com

採用対象が広がることで、応募者のバックボーンや経験、キャリア観の醸成度合いなどが多様になることが予想されます。
これまで、「この時期に動く学生はこういう志向だ」とアタリをつけて活動することができましたが、今後はそうはいきません。多様な応募者へ適切にアプローチして、かつ自社にマッチする人材を見極める体制を整える必要があります。

また、募集時期が通年になることで「冬は集客・春に選考・夏にインターンして秋は企画」のようなシーズンごとに明確に分けられていた業務が、1年でまんべんなく発生することになりますので、その対応も必要です。

PDCA を回すサイクルが短くなる

今回、若手ポテンシャル通年採用に踏み切った一番の理由がこれです。
一括採用の廃止がなぜ PDCA サイクルの短縮につながるのか下記で説明します。

従来の新卒一括採用では、前述のとおり学生の活動傾向がシーズンごとに明確に分かれています。
例えばベンチャー企業に就職する学生であれば、多くの学生が下記のような動き方をしています。

  • 3年生の夏ごろにいくつかのインターンシップに参加する
  • 秋~冬にかけて合同セミナーなどに参加して、色々な業界や企業を広く浅く知る
  • 11月~1月ころに、インターンシップや合同セミナーで知った企業の中から気になった企業を個別に受け始め、3月ころまでに内定先を決める

学生の動きがシーズンごとに分かれているので、採用活動も当然シーズンごとに行うことになります。
上記でいえば、夏はインターン・秋は合同セミナー・冬に単独説明会と面接…というふうに。

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こうしてシーズンごとに施策を考えて採用活動を行うわけですが、ここで問題となるのが施策がうまくいかなかったときのリカバリーがしづらいことにあります。
例えば秋に合同セミナーを実施する戦略をとった企業が、何らかの理由で集客に失敗したとします。すると、当然その後の単独説明会への集客もうまくいかなくなり採用活動全体が失敗してしまう可能性があります。

そして何より、うまくいかなかったことの要因を分析しても次に活かせるのは1年後というのが致命的です。
例えば秋の合同セミナーで集客に失敗した要因が、説明する内容やテーマが今の学生のニーズと合ってなかったということが判明しても、その反省を活かせるのは1年後。1年も経てば自社の状況も学生の志向も変わっている可能性が高く、結局反省を活かせません。

こうして考えると、新卒採用活動はきわめて PDCA を回しづらい、事前に決めた施策が当たるか当たらないかにかけるバクチに近い活動なのではと感じたのが新卒一括採用廃止に踏み切った理由です。
環境変化が激しく、小さく失敗して細かく改善していくのが当たり前の時代において、PDCA を1年単位でしか回せない活動を続けるべきではないと。

一括採用を廃止して、採用対象が広がれば応募者の活動する時期にバラつきが出ます。
そうなれば、例えば冬の新卒向けの集客に失敗したのであれば春に第二新卒向けの施策を企画してリカバリー、などのセカンドプランを考えることができるようになるのです。
採用対象が多様化することで1年単位ではなく、1か月単位で採用計画と施策の見直しができるようになります。

↓PDCA でいうと最近読んだ下記の本が参考になりました↓

新入社員研修が年に1度ではなくなる

最後に。これは人事にとっては負担が増える問題です。

従来の新卒採用活動であれば入社は毎年4月に固定されていました。毎年同じ時期にまとまって新入社員が入社することは、教育面からみると非常に効率が良いです。
特に新卒社員はビジネスマナーや業界基礎知識など、座学でまとまって受けるのに適した研修が必要ですので。

新卒一括採用を廃止して応募者が多様化すると、当然入社時期はバラバラになるので一工夫必要ですね。
ヤフーさんは入社時期を4月と10月のどちらかを選択できるようにしているとのこと。入社希望者にとっても研修実施者にとっても良い落としどころだと思います。

 

以上、新卒一括採用を廃止すると人事業務にどんな影響を与えるか、という視点でまとめてみました。参考になれば幸いです!