なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

社員30人の会社が1年で11人の中途採用に成功した手法

高まる求人ニーズ、加熱する人材獲得競争

景気が上向いていることもあり、中途採用市場が活況です。

有効求人倍率の動向|2015年6月版 - キャリア採用ラボ によると有効求人倍率はジワジワと上がり現在は1.17倍。

ベンチャー界隈では数値以上に人材獲得競争が激化しており各社苦戦しています(そのせいか人材系の営業電話は必ず「中途採用苦戦してますよね?」から始まります)

そんな中、おかげさまで私の所属する会社では年間10名超の中途採用を行えているので、今日はその手法を紹介します。

初めに断っておきますが、ユニークで画期的な採用手法を取り入れているわけではなく(それは今後チャレンジしていく)、正攻法で地道な活動をしているだけです。

1年間で11人の中途採用に成功

私が 現社(フィードフォース) に入社したのは2014年7月。入社から約1年間で採用した中途社員は11人です。

採用した職種は、

  • Webエンジニア
  • インフラエンジニア
  • フロントエンドエンジニア
  • htmlコーダー
  • マーケティング/広報
  • 営業/広告運用 などです。

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中途採用成功に貢献してくれた 転職サイト「Green」

上記で上げた11人中7人が 転職サイト 「Green」 経由での採用です。他社人事や人材企業の方からは「媒体経由では中々採れない」という話をよく聞く中、弊社は中途採用のほとんどをGreenに頼っています(ちなみに私もGreenで現社を見つけました)

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IT/Web業界の求人・採用情報に強い転職サイトGreen(グリーン)

Greenが有用な理由

Green経由での採用が成功した理由を分析してみます。
ちなみにアトラエ(Greenの運営会社)から何かもらっているわけではありません笑

求職者の属性が求める人材に合致している

求人を載せる転職サイトを選ぶ際、色々な評判を気にすると思いますが、一番重要なのは「求める人材がサイト登録者にどれだけ存在しているか」です。

Greenは IT/Web業界のベンチャー企業が主な利用企業であることもあって、同様にWeb業界のベンチャー企業である私の会社にとってマッチする人材が多いです。

Green 公式の発表によると登録者の94.1%がIT/Web業界経験者とのこと。必然的に登録者の年齢層も若手が多いです。

「気になる」「会いたい」ボタンで気軽に接触できる

Greenには、「気になる」ボタンがあります。文字通り「あなたの経歴が気になってますよ」という意思表示を求職者に気軽に送ることができるのです。
企業からの「気になる」が届いた求職者はその企業の求人を見て興味を持ったら「話を聞いてみたい」ボタンを押して興味がある意思表示をします。

逆に、求職者から企業に対して「気になる」の意思表示をすることもできます。その場合、企業からは「会いたい」ボタンでアプローチします。

この、
「(企業から)気になる」→「話を聞いてみたい」
「(求職者から)気になる」→「会いたい」
という流れがスムーズに行われ、気軽に応募ができる点がGreenの優れた点です。

よく知らない会社への本応募は求職者からするとハードルが高いので「話を聞いてみたい」「会いたい」という機能で応募への心理的ハードルを下げてくれているのです。

成功報酬の課金モデル

料金形態についても触れておきましょう。
Greenは初回掲載時に30~50万円支払うと、それ以降はいくつでも、いつまででも求人を載せることができます。
採用内定に至った場合のみ成功報酬で30~90万円(職種や地域により異なる)です
↓料金形態や申し込み方法などは下記参照↓

IT/Web業界の求人・採用情報に強い転職サイトGreen(グリーン)

知名度の低いベンチャー企業の採用では、広告課金型の転職サイトに掲載しても応募が少なく採用につながる保証もないので成功報酬型だと安心です。価格も人材紹介会社より安いですし。
広告課金型転職サイトの一例:リクナビNEXTマイナビ転職en転職 など

応募者増のコツ「地道にちゃんと使う」

私の会社は世間的な知名度はまだまだ低いので、Green(や他の転職サイト)に求人を載せても自然応募はほとんどありません。

ですので、「気になる」「会いたい」「スカウト」機能を駆使してコチラからアプローチする必要があります。実際、Green経由から採用成功したうちのほとんどが「会いたい」や「スカウト」がきっかけでした。

地道に求職者検索

もうとにかくコレに尽きます。地道に地道に検索します。良いかもと思う人には「気になる」ボタン。

求職者が登録条件を全部入力していないであろうことを考慮して、できるだけ緩め緩めの検索条件で1人ずつ見るのがコツです。

ちなみに、「気になる」を一定数送るとサイト内検索順位が有利になるので継続して行うことが重要です。

求職者に合わせたスカウトメール

これもごく当たり前のことですが、スカウトを送る際はテンプレートの文面ではなく、求職者の経験や志向に合わせてカスタマイズして送ることが重要です。1人ずつにカスタマイズして送るのは大変な労力がかかりますが、返信率が全然違います。

Greenは求職者のアクティブ率が高いからか、ベンチャー企業の求人の相性が良いからか、スカウトからの応募率は10~30%とかなり高い印象です(大手転職サイトだと3~5%とかだったりします)

スカウトメールの文面については担当者に反応率の高い文面のアドバイスをもらうといいでしょう。少し古い記事ですが、下記も参考になります↓。

partners.en-japan.com


上記のように、「地道に検索して」「求職者合わせたスカウトを送る」という地味でコツコツ型の活動の結果が採用成功に結びつきました。
急募の求人があるときは、週に数時間は上記の作業に時間をあてて、「登録者全員の職歴書に目を通す」くらいの気合で取り組めばきっと成果は出ると思います。

 

今回紹介したのは、画期的な手法でもスマートなやり方でもなく、正攻法かつ昭和なやり方です。奇抜ではない分、手間をしっかりかければある程度までは成果が出ると思います。

今後は本当の意味でのダイレクトリクルーティング広報をからめた直接採用にチャレンジしていきたいと考えています。それらのチャレンジが成功(あるいは失敗)したらまたブログで紹介します。

 

↓フィードフォース 中途採用絶賛募集中↓

株式会社 フィードフォースの採用/求人 | 転職サイトGreen(グリーン)

採用専任者は何故必要か~バリューチェーンとしての採用活動~

今回も新卒採用ネタです。

↓こんな記事を読みました↓

diamond.jp

本来は当事者同士(現場社員と求職者)でやりとりができる採用や研修業務に人事が介在する価値とは何か、という興味深い記事でした。

記事によると、人事の介在価値は「効率性」と「潜在ニーズの掘り起こし」にあり、特に新卒採用ではその価値が発揮されやすいとのこと。

ちょうど、人事の存在意義って何だろう?と考えていたので、今回はその中でも新卒採用に焦点を当てて、私なりの「採用専任者の存在意義」について考えてみました。

高まる採用意欲、進む売り手市場

本題に入る前に市況感のおさらいです。

リクルートワークスの 大卒求人倍率調査 | 調査結果 によれば、2016年卒の求人倍率は1.73倍。昨年の1.61倍から0.12ポイント上昇しました。1.2倍台が続いていた2011年~2014年卒に比較すると↓の記事のように随分売り手市場になったといえそうです。

blogos.com

学生にとっては求人が増えたので自分の身の丈に合った企業さえ受けていれば就職しやすくなったわけですが、採用する側としてはそれだけ厳しい戦いになっています。

特に最近は数多くのベンチャー企業がメキメキ成長して熱心に採用活動を行っており、ベンチャー企業で採用担当をしている身としては数値以上の厳しさを感じています。

(中でもエンジニアの獲得競争は新卒中途共に筆舌を尽くしがたいものがありますが、話が脱線するので別の機会に)

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採用専任者の存在意義

本題に戻ります。皆さんの会社には採用の専任者はいますでしょうか?このブログを読んでくださっている方には、「自分が専任担当者だ」という方も多いかもしれません。

規模の小さいうちは経営者や役員が採用を兼任して、ある程度の規模になってきたら採用専任者を雇うのが一般的なようです。最近は規模が大きくても選任者を置かずに、現場の社員をプロジェクトとして駆り出すところもあるようです。

私の会社は前者で、2015年卒の採用活動までは専任者を置かずに社長や役員が兼任で採用活動を行っていました。1年前に私が加入して、2016年卒の採用活動から私が専任で行っています(中途採用、評価制度、組織活性なども守備範囲なので完全な専任ではありませんが)

そんな、「採用専任者なし」の状態から「採用専任者あり」の切り替えのタイミングで1年やってみた私なりに、採用専任者を置く意義について考えてみました。

説明会や面接など、スポットで見れば他に適任がいる

私が採用専任といっても、一人だけでは上記のような苛烈な採用競争に勝てませんので、説明会や面接、クロージングの場に社長・役員・現場社員を総動員して採用戦線を戦ってきました。

そして、それぞれの場にはそれぞれの適任がいます。社長に経営ビジョンを語ってもらいたい、現場エースに入社後の成長ストーリーを語ってもらいたい、若手社員に会わせて親しみを持ってもらいたい 等々…人事の私が出るよりも社内に他に適任がいるケースは山ほどあります。

となると、それら適任の社員を学生のニーズに合わせてアサインする、調整業務だけが採用専任者の意義なのか…?

バリューチェーンとしての採用活動

答えはNo!です。調整業務が採用担当者の大事な仕事であることは否定しませんが、それだけなら専任である必要はありません。

採用専任者の存在する意義は、採用戦略を一貫性のある活動に落とし込んで、採用活動のバリューチェーン全体としての価値を最大化できるよう設計・実行すること、だと考えています。

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(出典:アクティブアンドカンパニーHP
  http://www.aand.co.jp/consulting/hr/recruit.html

上の図には色々書いてありますが、採用活動を大雑把に分類すると、

  • ターゲットを決めて、
  • 集めて、
  • 選んで、
  • 惹きつける

の4つの活動で構成されています。採用戦略を立てる際は、これらの連続性と一貫性が大事です。

例えば、ベンチャースピリットを持っている行動力の高い学生を求める企業があったとして、「集客はリクナビ・マイナビに掲載して会社説明会へ誘導」「説明会では福利厚生の充実をアピール」という施策を打っていては、仮に説明会や面接にエース社員や役員を動員したとしても間違いなく採用活動は失敗します。ターゲットに対して集める方法と惹きつける方法が明らかに食い違っているからです。

「ターゲットを決めて」「集めて」「選んで」「惹きつける」という4つの活動を、自社の求める人材と使えるリソースや市況感などを見ながら最適な打ち手を選択していき、一貫性と連続性を持ったバリューチェーンを設計することこそ、採用専任者の腕の見せ所だと思うのです。

一貫性と連続性を持ったバリューチェーンの設計、と一言で書きましたが、実際やることに落とし込むと、考えること・やることは山ほどあります。思いつくだけでも、

  • 会社のビジョンにマッチした求める人材の策定
  • 求める人材と自社のPRポイントにマッチした適切な集客方法の選定
  • 学生の志向と温度感に合わせた接触ポイントの設計
  • 各接触ポイントごとのメッセージングの設計と適切な対応社員のアサイン
  • 求める人材の見極めと惹きつけに適した選考手法の設計と選考担当者のアサイン
  • 上記選考フロー全体を通したクロージングストーリーの設計
  • 内定後学生の適切なフォロー、辞退防止策の設計 等々…

これだけのことを設計・実行していくには兼任者では難しい場合が多いです。単純な業務量が多いからというよりは、「社内全体を巻き込む」「長期に渡って(1~2年)実行する」「短期的な成果が分かりにくい中PDCAをまわしていく」という業務の性質上、兼任には向かないのだと考えています。

まとめ

私たち採用専任者が存在する意義・発揮すべき価値は、会社のビジョン・使えるリソース・市況感を分析したうえで、「ターゲットを決めて」「集めて」「選んで」「惹きつける」活動に一貫性と連続性を持たせた最適な施策を打っていくことにある。

 

これから2016卒の活動を始める方も、既に2017卒の活動を始めている方も、休日出勤や出張が重なってお忙しいかと思います。体調に気をつけながらも、会社の未来に向けて共に採用戦線を戦い抜きましょう。

学歴差別問題に対する現役人事の考察

明るみに出た学歴フィルター

大手企業の採用選考も本格化する中、ゆうちょ銀行の学歴フィルターの件、話題になってますね。

netgeek.biz

採用担当者として日々働いている私が上記を読んでまず思うのは、説明会の設定をした採用担当者は青ざめてるだろうな…ということ(もっとうまくやればいいのに)

で、この件での世間の反応はさまざまで、

  • ゆうちょ銀行エグい
  • 学歴が低くても優秀な人がいるのにフィルターをかけるなんて時代錯誤だ
  • 日東駒専でフィルターかけられるならFラン大学の自分オワタ
  • 不正が発覚したゆうちょ銀行はどう釈明するのか
  • 学歴でフィルターをかけるのは合理性があるので仕方ない

などなど。

ここまで露骨に差別があったので、ゆうちょ銀行に悪感情を持った人も多いようです。投稿者の大学が日東駒専という一般レベルの大学だったことも、投稿者への同情を集めやすかったのかもしれません。

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採用活動は公共事業ではない

こういった学歴差別への批判が起こるたびに思うのは、学歴差別の是非以前に、第三者がとやかく言うことじゃない、ということです。

採用活動は公共事業ではなく、企業がその戦略を達成するために必要な人員を確保する企業活動です。

その手段が新卒採用だろうが中途採用だろうが、学歴差別しようがコネ採用だろうが、第三者がどうこういうものではありません。

補足:男女・国籍・信条などを差別しないという法律を守っている前提の話です

学歴差別でなく学校差別

採用活動は公共事業ではないという前提のうえで、第三者ではなく自分が採用する立場だった場合の学歴差別についての考察をしていきましょう。

まず整理をしておきたいのが、ゆうちょ銀行のケースは正確に言えば学歴差別ではなく学校差別であることです。

学歴の本来的な意味は、中卒・高卒・短大卒・専門卒・四大卒・大学院卒、などの最終学歴を指します。

私はあまりピンときませんが、高卒だと係長止まり、四大卒じゃないと課長以上になれない、というような学歴差別が行われていた時代があったようです。

現在では大学進学率がグっと上がり、学歴といえば大学のどのランク(偏差値)の大学を卒業したのかを指すことが一般的になりました。

ココでは最終学歴での差別と区別するために、これらの学校ランクによる差別を学校差別と呼ぶことにします。

差別をする理由・意図

結論から言えば私は学校差別はあって当たり前、という肯定派です。フィルターをかけて門前払いにするかどうかは別として、ですが。

ゆうちょ銀行の件で悪感情を持たれた方、落ち着いて是非最後まで読んでください。

学校差別は効率が良い

何故ゆうちょ銀行のように学校差別する会社が後を絶たないか。それは、そのほうが効率が良いから に他なりません。

学歴差別・学校差別反対派の方はよく、

「学校のランクに関係なく優秀な人はいる。例えば私の友人の○○さんは偏差値は低いけどとても優秀で…」

という意見を述べます。

私も全くそのとおりだと思います。学校ランクや最終学歴に関係なく優秀な人は間違いなくいる。そして、学校差別をしている会社の経営者・人事の方もその意見には100%同意することでしょう。

なのに何故学校差別をするのか。それは、

「個別で見れば学校ランクに関係なく優秀な人がいるのは知っているけど、優秀な人に出会う確率(優秀な人が存在する含有率)と学校ランクは明確に相関があることを知っている(あるいは信じている)」からです。

個別の事例ですが、私がいつも手本にしている、人事の仕組みが世界的に見て素晴らしいと認識されているある企業も、新卒採用では一定ランク以上の学校のみを説明会に呼ぶ、と公言されていました。理由は明確で、「そのほうが効率が良いから」だそうです。

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学校ランクで採用を決めているわけではなく、一次接触の優先順位をつけている

採用担当者になったつもりで考えてみてください。

・今年は10人採用したい。

・10人採用するためには、自社に合う=優秀だと思われる学生に50人と接触する必要がある

・これまでの採用データから、A大学は2人に1人、B大学は5人に1人、C大学は10人に1人、自社にマッチする学生がいる見込みが立ちそうだ

・学内説明会を開くとして、どの大学を優先的に訪問しようか…

 

どうでしょう。考えるまでもなくA大学から訪問しますよね?A大学なら100人と接触すれば10人採用できる見込みですが、C大学なら500人と接触する必要があります。

私だったら、A大学、B大学を回ってダメだったときの保険としてC大学に訪問するか、そもそも訪問しないかのどちらかです。世間的に見ればこれも立派な学歴差別でしょう。

しかし注意してほしいのは、個別に見れば学校ランクに関係なく自社に合う人・合わない人がいることを(普通の)採用担当者は理解してますので、上記のようにA大学の学生から優先的に接触はしますが、選考は学校ランクとは関係なく行います。

もしたまたまC大学の学生が選考を受けてくれて、自社の合格基準を満たすならばもちろん採用しますし、A大学であろうとも合格基準に満たないなら当然不採用とします。

学歴差別・学校差別は悪だと条件反射で捉えてしまう方は、学歴で採用不採用が決まるという視点ではなく、限られたリソースの中で、どの学校を優先的にターゲットにするか、という視点で見ると少し印象も違うのではと思います。

偏差値以外の学校差別の流れがきている

最後に触れておきたいのが、偏差値以外の基準で学校差別が起き始めている、ということです。

例えば、

  • D大学は偏差値は低いけど、実践的なカリキュラムを取り入れて地元企業と連携して学生を育てている。自発的に学ぶ姿勢も身についているし、チームで働く難しさを知っている学生も多いので入社後活躍してくれる期待が持てる。特別に筆記試験免除で選考に呼ぼう
  • E大学のF教授は指導力がズバ抜けて高く、研究室からは毎年とびきり優秀な学生が輩出されるので、F研究室対象の特別選考枠を作ろう

という、偏差値以外の基準で学校を差別することです。

これはとても良い流れだと思っていて、こうした本質的な評判が広まるとその大学の就職率も高まり、入学希望者が増えます。すると他大学も対抗して新しいカリキュラムを作るようになる、という良いサイクルを生み出します。

偏差値で差別する、というと反感を覚える人もいるかもしれませんが、上記のような本質的な意味での差別であれば嫌な気分になる人もほとんどいないのではないでしょうか。

 

長くなってしまいましたので結論を2つまとめます。

  • 採用活動は公共事業じゃないので第三者がとやかく言う問題ではない
  • 採用担当者は、偏差値以外の本質的なポイントでの「差別する目」を持つべし

掲載・成果報酬無料の求人媒体「スタンバイ」が中途採用市場の常識を破壊する

ビズリーチがリリースした求人媒体「スタンバイ」に衝撃を受けたので興奮さめやらぬまま書きます。

掲載無料、成果報酬ナシの型破りの求人サイト「スタンバイ」

正確には求人サイトではなく「求人検索エンジン」ですね。ハイクラスの人材紹介・ヘッドハンティングに強いビズリーチがリリースしました。攻めますね、ビズリーチ。

jp.techcrunch.com

スタンバイの紹介は上記サイトが分かりやすいです。リクルートのindeedとの違いにまで言及しています。

スタンバイの要点だけまとめると下記のとおりです。

・求職者が職種や勤務地などのキーワードを入力すると各求人サイトに掲載されている求人情報を一括で検索できる(求人情報に特化したgoogle検索のようなもの)
・企業はスタンバイに直接求人を申し込むことも可能
・求人情報の掲載料、採用成功時の成功報酬はすべて無料
・スタンバイの収益源は検索結果ページの「スポンサードサーチ」からのみ

 うーん、これはすごい!これまでの中途採用市場の常識を壊してくれる期待が持てます。

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中途採用ビジネスのモデルが一変する

何がすごいかというと、これまで一般的だった広告掲載型の求人サイトが一掃される可能性を秘めていることです。

広告掲載型の求人サイトとは、文字通り企業が広告掲載費を払って求人を載せるサイトのことです。

リクナビNEXTマイナビ転職エン転職DODAなどが有名ですね。掲載順位やスカウトなどのプランにもよりますが、1~2ヶ月掲載して40~100万円が相場です。

もしビズリーチの「スタンバイ」が目論見どおりに浸透したら、これらの広告掲載型の求人サイトにお金を払って求人掲載する企業が激減します。

なぜか。下記のようなストーリーが考えられるからです。

1.求職者はまず「スタンバイ」で仕事を探すようになる

これまで、求人サイトで転職先を探していた求職者は複数のサイトを同時に利用していました。リクナビNEXTには載っていないけどマイナビ転職には載っている会社もあるので、できるだけ多くの選択肢の中から会社を選びたいと考える求職者は複数のサイトに同時登録せざるをえなかったのです。

しかし、スタンバイで検索すれば複数のサイトの求人情報を一度に調べることができるので「まずはスタンバイで検索してみよう」となるはずです。

私も転職活動時、複数サイトに登録するのが面倒だったのでじげんの「転職EX」を使っていました。

2.企業への応募が増える

例えばリクナビNEXTに広告費を払って求人掲載していた企業があったとします。その企業への応募はスタンバイが広まることによって増えるでしょう(ある程度魅力的な求人であることが条件ですが)

これまでリクナビNEXT登録者のみにしかリーチできていなかった求人が、スタンバイ利用者にもリーチできるようになったので応募が増え、マッチングする可能性も高まります。

3.企業が広告掲載型の求人サイトへの掲載をやめる

こうしてスタンバイ経由からの応募が増えてきたら、その企業はリクナビNEXTへの求人掲載をやめて、スタンバイに無料で求人掲載することでしょう。

求職者がリクナビNEXTからではなくスタンバイから多く検索・応募してくるようなら、リクナビNEXTに掲載するメリットはほとんどなくなります。スタンバイで検索してもらい、スタンバイに無料で掲載している求人を見つけてもらえばいいのですから。

4.ますますスタンバイの利用が広まる → 1へ戻る

こうして従来の求人サイトへの掲載をやめる企業が増えてくると、求職者が求人サイト個別で転職先を探す利便性が下がり、ますますスタンバイの利用が増え、以下無限ループです。

 

このように、完全無料の求人媒体「スタンバイ」は広告掲載型求人サイトというビジネス自体をなくしてしまうポテンシャルを持っていると感じていますし、ビズリーチはそれを狙っているのでしょう。

もちろん、実際にここまでうまくいくかどうかは分かりません。各求人サイトの反撃もあるかもしれません。

どちらにしても、求職者と求人企業の双方が幸せになる、便利で本質的なサービスが評価され、生き残っていくことと思います。

無責任だからこそ生まれる発想がある!~無責任会議のススメ~

あなたの組織の課題をまるっと解決する!そんなヒントが得られるディスカッション手法を紹介します。

悩みの尽きない我々サラリーマン

私たちは仕事や組織に対して大小さまざまな課題を抱えて仕事をしています。

志を持って仕事をしている人なら、その課題をどうにか解決したいと頭を悩ませていることでしょう。

例えば人事関連の課題であれば、

来年度の新卒採用戦略どうしよう

とか、

効果的なマネジャー教育って何だろう

とか、

どうすれば従業員満足度が向上するだろうか

などなど、課題は山のようにあることでしょう。

そんな悩み多き皆さんに、オススメの解決メソッドがあります。

それが、無責任会議です。

無責任会議とは

数年前から、私が仕事上で悩んだときに行っている、課題解決のヒントを得られるディスカッション手法です。

方法は至ってシンプル。下記のルールに従ってディスカッションするだけです。

  • 会議の主催者が抱えている課題に関する見識を持っていそうな人を4~6名ほど集める
  • メンバーの半数以上は必ず主催者の会社と利害関係のない人にする
  • 主催者の抱えている課題の詳細をメンバーに共有する
  • メンバーは、その課題に対する感想や思いついた解決策などを、無責任に発言する
  • 会議の主催者は、無責任に出た意見に反論してはならない。意見の中から、課題解決のヒントになるものはないか、真摯に受け止める

4つ目の「無責任に発言する」が最も重要です。参加メンバーは、自分のことは棚の上にぶん投げて、とにかく無責任に思うままに発言する。無責任になることがルールなのです。

このやり方で、思ってもみない解決策へのヒントが見つかります。

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無意識に狭めている思考の枠を無責任さが広げてくれる

課題解決のために頭を悩ませていると、無意識下で実行時の障害を想像してしまってないでしょうか。

この提案は部長が反対しそうだな

とか、

似たような提案して却下されてる同僚がいたな

とか、

関係者の根回しが大変そうだ

とか。

これらの障害を想像してしまうのは無理もありません。あなたは実際に課題解決を実行する「責任ある人」なのですから。

しかし、無責任会議で発言するメンバーはそうではありません。

利害関係はありませんし、社内の人間関係のしがらみも知りません。何より、無責任に発言することがルールなのですから、それはもう無責任な発言をドンドン出してくれます。

そして、無責任な発言にこそ本質的な解決策のヒントが隠れているのです。

大切なのは課題を解決することであって、上司の顔色を伺ったり、提案が却下されることを恐れることではないはずです。

無意識にかけていたブレーキを、無責任な発言の数々が外してくれます。そこにこそ、無責任会議を開く意義があるのです。

実際に開催したテーマ

過去何度となく行われた無責任会議のテーマの一例が下記です。

  • 同業大手企業への辞退を防ぐには
  • 説明選考会を効果的に行うには
  • 倫理憲章を遵守しながら優秀な人材を確保するには
  • これまでにない採用手法を試したいという顧客にどんな提案をするか(人材会社が主催)
  • なべはる(私)が転職後に活躍するにはどうすればいいか  等々・・・。

(↓実際の会議の様子↓)

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新卒採用ネタが多いですが、それ以外のどんなテーマでもできます。

やってみると、絶対に自分では出ない、無責任だからこその意見がたくさん出ます。

・そもそも新卒採用をせずに第二新卒や既卒を狙えばいい

・選考フローを全て刷新しよう

・全社員をリクルータ化しちゃえば?

・今年は諦めて来年に集中しちゃえ

などなど、自分ひとりでは絶対に考えつかない(考えても色々な障害を想像して無意識にフタをしてしまう)アイデアの数々。

想像してみてください。自社とは無関係の人が、自社の課題に対して無責任かつ無遠慮に(でも真剣に)解決策を考えてくれるんです。ワクワクしませんか?

無責任会議の限界

無責任会議が効果的な手法であることは確信を持っていますが、万能なわけではないです。

それは、得られるのはあくまでも解決へのヒントであって、答えが見つかるわけではない、ということです。

無責任に出された解決策やアイデアは玉石混合です。まったく的外れなものもあれば、解決への糸口となるものもあるでしょう。

それらを精査して、自社で実行できる現実的なプランにまで落とし込む必要があります。

無責任に出たアイデアを、責任を持って実行していけるかどうかはあくまで主催者の力量にかかっているのです。

課題解決に無責任会議をお試しあれ!

無責任会議に興味を持たれたら、ぜひ一度やってみてください。

今回は社外の人に限定しましたが、社内で部門をまたいでやっても面白いと思います。

人事関連の議題であれば喜んで(無責任に)行きますので、もし一緒にやりたいという奇特な方がいらっしゃれば、コメントでもtwitterにでもご連絡ください。

「就活解禁」のウソ 倫理憲章を正しく理解する

2016年卒業予定者対象の新卒採用活動が本格化してきました。

今年は倫理憲章の変更に伴い、リクナビ・マイナビなどの大手ナビサイトのオープンが3月からになり、企業の採用担当者も就活をする学生にも戸惑いが見られるようです。

私自身、採用担当として学生と接していても、今時点で内定を複数持っている人・何社かの面接に進んでいる人・最近説明会に参加し始めたばかりで志望業界も全く定まっていない人と様々で、例年以上に学生の動き出しがバラバラな印象です。

というわけで今回のブログは就職活動・採用活動時期の後ろ倒しについてです。巷に流れるいい加減な情報に惑わされず、正しく理解したうえでどう行動するか決めましょう。

就職活動・採用活動が後ろ倒しになった…それって本当?

倫理憲章が変更になり、就職活動が3ヵ月後ろ倒しになった…と巷では言われていますが、正確な表現ではありません。
就職活動が後ろ倒しになったなんて、誰が決めたのでしょう。どこの誰も、「就職活動は3月からにしてください」なんて言ってないはずなのに、「今年の就職活動は3月から」と誤った情報が流れてしまっています。

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倫理憲章の意味と対象

ではなぜ、就職活動・採用活動は3ヶ月後ろ倒しというのが当たり前のように認識されているのでしょうか。

それは、2016年卒以降の学生を対象に、倫理憲章の変更があったからです。

倫理憲章とは

コトバンクによると、

・日本経団連が定めた新卒採用活動に関するガイドライン

・男女差別はしない、など採用に関する倫理的に守るべきことが記載されている

・採用活動の時期に関して、2016年卒以降を対象に「広報活動は最終学年前年の3月から」「選考は最終学年の8月から」(2012~2015年卒は、広報活動は最終学年前年の12月から、選考活動は最終学年の4月からだった)としている

とのこと。(追記:その後変更になり選考は最終学年の6月からに)

先の朝日新聞の記事も、この内容をもとに「就職活動が3ヶ月後ろ倒しになった」と書いてあるわけですね。

原文は経団連のHP「採用選考に関する指針」を参照。

倫理憲章の対象企業

倫理憲章が、日本の全ての企業にあてはまるルールなのであれば、「就職活動が3ヶ月後ろ倒しになった」というのも間違っていないのかもしれません。

しかし、実態はまったく異なります。

そもそも倫理憲章自体が経団連が定めたものですので、対象は経団連加盟企業のみです。

そして、経団連加盟企業1300社のうち、賛同しているのは833社(2013年5月時点)。

日本に存在する企業は約400万社あります。そのうち新卒採用を行う企業がどれくらいか正確には分かりませんが、リクナビに掲載している企業だけで1万社あることを考えると、少なくとも数万社は新卒採用活動をしているとみていいでしょう。

私たちは、数万社のうちのたった833社のみが対象の決まりごとに対して、それがあたかも普遍的なルールかのように「採用活動・就職活動が後ろ倒しになった」と騒いでいるわけです。

事実と現象を正しく理解して行動する

833社以外のほとんど全ての企業にとっては倫理憲章は関係ありません。守るも破るもなく、ただただ関係がない話です。

また、就職活動をする学生にとっても基本的には関係ありません。経団連は833社と決まりごとを決めただけで、学生の活動に対しては何ら言及していませんので、自分の好きなタイミングで就職活動を始めればいいのです。

今回の倫理憲章が変更したことによる実際の現象としては下記のとおりです。

  • リクナビ、マイナビなどの大手ナビの本オープンが3月からになった
  • 経団連加盟企業のうちの一部企業の面接開始が(表向き)8月からになった

就職活動をする学生の皆さんは、「就職活動を始めるタイミングにルールはない」「倫理憲章は賛同企業833社のみ関係がある」という事実と「大手ナビオープン時期と一部企業の面接開始時期が変更になった」という現象、この2つを冷静に捉えたうえで、自分自身のタイミングで就職活動を始めていただければと思います。

 

就職相談もスマホの充電も無料!街なかのキャリアセンター キャリぷら

オフィス街や電車の中などで就職活動生をよく見かけるようになりました。

リクルートスーツと社会人の着る黒いスーツ、見た目は同じなのに一発で見分けられるのは何でなんですかね?

気温もジワジワ上がって梅雨も近づいてくる中、着慣れないリクルートスーツに革靴/パンプスを身にまとい、履歴書やエントリーシートを書き、面接やグループディスカッションをこなしながら乗りなれない地下鉄に悩まされる…そんな就活生も多くいることでしょう。

今日は、そんな就職活動中の学生へのおすすめスポット、キャリぷらをご紹介します。

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キャリぷらって何?

キャリぷらHPによると、

学生なら誰でも無料で使える街なかのキャリアセンター(東京の飯田橋、大阪の本町)

企業の採用人事をはじめ社会人、就活を終えた先輩含む他大学の学生と話、「はたらく」を肌で感じ、自分の頭で考え行動し成長できる場所です。

 とのこと。通常大学内にあるキャリアセンターを街なかに!というコンセプトのようです。

通常の学生支援団体や施設は、企業または大学を向いて運営されていますが、キャリぷらは徹底して学生支援に重きをおいた施設です。詳しくはキャリぷらの設立経緯をご参照。

本ブログではそんなキャリぷらのすごさを紹介していきます(ちなみにキャリぷらからお金はもらってません笑)

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利害関係のない企業人事に会える

キャリぷらに立ち寄ると、協賛企業の人事・新卒採用担当者と出会えることがあります。

通常、就活中の学生が出会う人事は選考途中の企業、つまり志望企業の人です。入りたい会社の人事相手となるとどうしても緊張したり、本音を聞くことができなかったりするでしょう。

しかし、キャリぷらには様々な業界・年齢の人事が来ます。利害関係はありませんので、フラットに、リラックスして相談に乗ってもらうことができ、予定が合えば模擬面接を受けることもできます。

話をしていく中で参画企業の人事が「この学生はウチに合いそうだな」と感じたらその会社の説明会や選考などに誘われるかもしれません。お互い緊張することなくフラットな場で話す中で気に入られたのであれば、ご縁と思って参加してみるのもいいかもしれません。通常の合説などで出会うよりもかなりマッチング率は高いと思います。

もちろん、嫌なら断ればいいですし、無理に誘ってくることもないので安心です。

学生同士の交流ができる

キャリぷらには毎日色々な学生が訪れます。

最終面接前で緊張している人、締め切り直前のエントリーシートを必死に書いている人、連続でお祈りされてヘコんでいる人、自分が何をしたいのか分からなくなって相談に来た人、内定出たはいいけど就職活動を終えるべきか悩んでいる人…大学も、志望業界も全くバラバラ。

だからこそ、就活中で狭くなりがちな視野が広がるかもしれません。そうでなくても、共に就活中で頑張っている人の姿を見るのはやる気が出るものです。

スマホやPCを充電できる(笑)

最後はオマケで(笑)をつけましたが、何気に重要。

ちなみに充電だけでなく、

  • PC利用可(台数制限あり)
  • wifi利用可
  • プリントアウト 無料利用可
  • 冷蔵庫も無料利用可(スペース空いてれば)
  • コーヒー、麦茶が無料で飲める(出してくれるというよりは、自分で淹れることができる)
  • たまにランチやディナーを出してくれる(学生が自発的に一緒に作る)

面接と面接の間にちょっと時間が空いたときや、エントリーシートを書き上げたいとき、書類の印刷を忘れたとき、地方から東京に出てどう時間を潰せばいいのか分からないときなど、就活の相談以外にも、いろいろな利用シーンがありそうです。基本的に無料なので、何かとお金のかかる就活生には嬉しい。

利用者の目的も様々なので、「今日はESに集中する!」ともくもくと作業するのもアリです。無理に交流する必要もありません。

怖がらずに行ってみよう

就活の相談をしたい人も、就活仲間がほしい人も、充電スポットがほしい人も(笑)、気になったらぷらっと行ってみてはいかがでしょうか。

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キャリぷら東京

東京都千代田区神田神保町 2-15 第一冨士ビル 7 階

地下鉄神保町駅 徒歩3分

キャリぷら大阪

大阪府大阪市中央区本町4-4-10本町セントラルオフィス8階

各線 本町駅 徒歩3分