高まる社会貢献志向、戸惑う面接官
「会いに行けるベンチャー」で学生と話をしていると、「社会に貢献できる仕事がしたいです!!」という方によくお会いします。
リクルートワークス研究所によれば、2000年頃から若者の社会貢献志向が高まってきていて、東日本大震災以降その傾向が更に顕著になっているとのこと。
一方、面接をする企業側からすると、学生の社会貢献志向は概ね不評、あるいは戸惑いを感じているようです。
不評な意見をまとめると、大体下記のとおりです。
- 企業はボランティア団体じゃない
- 全ての企業は社会貢献しているのだから何も言ってないのと同じ
- そんなに社会貢献したいならボランティアかNPOに行けばいい
- 事業で利益に貢献できる人がほしいわけで、いきなりCSR部門の配属を希望されても困る
どれも正論で、ぐうの音も出ません。
でもそれじゃあ、社会貢献志向を持っている若者が悪いのかというとそんなはずはない、と思うのです。
面接でアピールするかどうかは別にして、社会貢献したい、という志向が悪いわけがありません。誰だって生きているからには社会に貢献したいと思うのが自然ですし、私だって社会貢献したいです。
社会貢献志向は欲求
ここで整理したいのが、社会貢献志向は個人の欲求である、ということです。
マズローの5段階欲求説でいうところの、尊厳欲求・自己実現欲求ですね。
昔に比べて生存欲求が脅かされることが少なくなっているので、より高次元の欲求を満たしたい人が増えているという、とても自然な流れだと理解しています。
個人の欲求だから社会貢献の捉え方も人それぞれ
社会貢献というと利他的で自己を犠牲にしてでも、というニュアンスを感じますが、上記のとおり社会貢献志向は個人の欲求なのですから、その捉え方も人それぞれでいいはずです。
社会貢献志向の強い人だって、客観的に見て社会貢献度の高い仕事を選ぶわけではなく、自身の興味や適性・欲求に応じて仕事を選びます。
高齢者問題に関心があるから福祉事業を選ぶ人、IT大好きだからITで社会貢献したいと思う人、国際問題に興味があるからグローバル企業を選ぶ人、福岡が大好きだから福岡に貢献したい人等々…人それぞれです。
今の若者は欲がなくてケシカラン!なんていうダメなオジサンもいますが、ベクトルが異なるだけで結局は個人の欲求。そう考えると我々オジサンにとってもしっくりくるように思います。
社会貢献したいんです!と面接で言われたらどうするか
上記のとおり、社会貢献志向=個人の欲求だと思えば、社会貢献したいだけの学生はダメだ、なんて短絡的な結論をしなくてもすみます。その学生の個人的な欲求を掘り下げて聞いていけばいいのです。
- その人にとっての社会貢献とは何か
- それはどんな欲求から生まれているのか
- 何故その欲求を持つに至ったか
- その欲求を満たすにはどういう仕事や事業がいいのか、それが自社にマッチしているか
上記のような、割と普通の掘り下げをするだけで無理のないマッチング可否判断ができるはずです。
「社会貢献したいっす!」という学生に出会うと「うっ・・・」と引いてしまう気持ちはとても分かりますが、ぐっとこらえて欲求をじっくり聞いていくのがお互いのためになると思います。
社会貢献したい学生はどうするべきか
上記のとおり、企業側は社会貢献志向の学生を扱いかねています。
その主たる理由が、社会貢献志向が実際の仕事や事業とリンクできるまで考えられておらず、「言っているだけ社会貢献志向」の人が多いためです。
社会貢献したいんだ!だけでは何も言っていないのと同じです。とりあえず働きたい!と同じ意味くらいに聞こえます。
社会貢献したい、で思考停止になることが一番危険なので、下記をしっかり掘り下げて考えてみてください。
- 自分にとっての社会貢献とは何か
- それは自分のどんな欲求から生まれてきているのか
- その欲求を持つに至ったきっかけや出来事は何なのか
- その欲求を満たす仕事や事業とは何で、社会的ニーズや受けようとしている企業とマッチしているのか(視野が狭くならないよう注意)
これらをしっかり考えられていれば、おそらく社会貢献という言葉を使わなくても自分のやりたいことや目指す方向性を表現できるはずです。