なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

面接の合否は面接の出来では決まらない

今回は新卒採用ネタです。どちらかというと人事担当者向けですが、学生の方にも読んでいただきたいです。

新卒採用活動が本格化してきました

2016年卒生対象のリクナビ、マイナビなどの大手ナビがオープンして2ヶ月余り。

ベンチャー・マスコミ・外資系企業は昨年末から既に選考を始めていますが、準大手企業もそろそろ本格的に始めているようです。

学生の皆さんは、授業や研究をしながら説明会参加やエントリシート・履歴書記入、グループワークに面接と、学業と就職活の両立に忙しい毎日かと思います。(もちろんそれを運営する側の人事採用担当者の方も)

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面接官は面接で何をみているか

本題に入る前に確認です。そもそも面接官は面接で学生の何を見て判断しているのでしょうか。

中途の経験者採用だと分かりやすいですね。その人の持っているスキルや実績、仕事への取り組み方などから自社ですぐに活躍できるかを判断します。

実は未経験者採用である新卒採用も基本的には同じ。過去の経験、物事への取り組み方から、自社で活躍できるかを判断しています。

経験者採用と違うのは、直接仕事の経験がない分、経験そのものやスキルよりもポテンシャルを重視する点です。

ポテンシャルを見極めるために、物事への取り組み姿勢や内容をを深く聞き出します。そうすることで学生の行動特性・思考特性を理解し、その特性が自社で活躍するにあたってマッチしているかを判断しているのです。

どういう行動特性・思考特性を持っている人が自社で活躍できるか、その基準は会社それぞれですが、過去の経験からその資質を見極める点では同じです。

このように過去の経験から行動特性・思考特性を引き出して自社で活躍できるかを見極める面接手法をコンピテンシー*1面接と呼びます。

「自己紹介をしてください」「自己PRをしてください」「学生時代に力を入れて取り組んできたことは何ですか?」「あなたの長所と短所は?」・・・これらのよくある質問も、理論的に言えばこの行動特性・思考特性を引き出すためのきっかけとして聞いているのです。

<まとめ>

面接官は、学生の過去に取り組んてきたことの内容や取り組み姿勢を聞き出すことで、自社で活躍できる資質(=コンピテンシー)があるかを判断している

うまくいった面接、うまくいかなかった面接

面接を終えた学生の中には、

「今日の面接では全然自分を出せなかった!」

とか、

「今日の面接は会心のデキだぜ!」

とか、その時なりの手ごたえを感じることもあるかと思います。

うまくいったと感じる面接ほど不合格なのは就活あるあるですね。(これにも実は理由があるのですが今日は置いておいて・・・)

面接を受けている学生の方は、その面接がなぜうまくいったのか・いかなかったのかを分析して次に活かしてほしいものですが、面接官の立場としては、そのときの学生の面接の出来に左右されないジャッジをしなければと心がけています。

学生の良さを最大限引き出そう

上記の「出来がよくなかった面接」を面接官目線で言うと、「学生のこれまでの経験から行動特性・思考特性(コンピテンシー)を引き出せなかった」ということになります。

コンピテンシーを引き出せなかったのであれば、自社で活躍できるかできないかの判断ができません。そして、活躍できるか判断のつかない人を入社させるわけにはいきませんので、結果はお断り=不合格、となってしまいます。

もしかしたら自社で活躍するポテンシャルを持っていたかもしれないのに、面接官のスキル不足で不合格という判断をしてしまっていては、企業側も学生側も不幸です。

「今日の学生は自己PRがイマイチだったな」とか「何を言っているか分からなかった」というのは面接官の責任です。

学生の話にしっかり耳を傾け、興味を持ち、その学生の良さを最大限引き出したうえで自社に合う人材かどうかを判断したいものです。

 

(補足) 

ここでの面接官の判断基準は担当者レベル(一次~二次面接)のものです。

役員面接、社長面接と進むほどに上記のような理屈ではない「勘」によってジャッジされるケースが増えてきます。

*1:自社で活躍する人材に共通して見られる行動特性・思考特性