なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

面接官が陥りがちなバイアスまとめ

最近書く記事の一貫性が全くありませんが、元々このブログは人事の方向けにと考えて開設したものです。

そこで、これからいよいよ2017年卒向けの新卒採用面接が本格化する今、面接官が陥りがちなバイアス(先入観)について紹介してみようと思います。

陥りがちなバイアスに気をつける

面接官は限られた時間で候補者が自社に合うかどうかを判断しなければなりません。人が人を見るわけですから、当然完璧な判断は不可能ですが、陥りがちな心理バイアスを知っておくことで、正確な判断に一歩近づくことができます。

ここでは、面接で陥りがちなバイアスを6つ紹介します。

第一印象の確証バイアス(第一印象に引きづられる)

おそらく、一番陥りがちで避けるのが難しいのがコレです。
簡単に言うと、第一印象に引きづられること。人は最初に感じた印象を知らず知らずのうちに追証しようとしてしまうらしいです。

このバイアスにかかっていると、例えば「1つのことをコツコツ努力した」というエピソードが、第一印象の良い候補者だと「継続力がある」と評価され、第一印象の悪い候補者だと「柔軟性がない」と真逆の評価になってしまいます。

面接に限らず、人と会うときは第一印象を良くする努力が必要かもしれませんが、面接官として人を見る際は第一印象に引きづられないよう注意が必要です。

ハロー効果(目立つ部分にしか目がいかない)

聞いたことのある方も多いでしょう。

ハロー効果とは、人物や物事を評価する際に、特徴的な一面に影響を受け、他の特徴についての印象・評価を歪めてしまう効果のことをいいます。ちなみにハローは挨拶ではなく後光(halo)のことです。

面接にあてはめると、高学歴・話が上手い・ユニークな経験をしている・字が丁寧など、何か1つ優れたことがある場合、他の欠点等には目を向けなくなることを指します。
ちなみに、悪い意味で目立つ事柄があり他の良い点が正当に評価されない場合にも当てはまります。

このバイアスに陥らないようにするためには、コミュニケーションや経歴・過去の経験やスキルはそれぞれ切り離して評価する必要があります。

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社会的証明(他人の評価に同調する)

人は、他人の考えや思想、評価に影響を受けやすいです。3つ星レストランや行列のできるラーメン屋に行きたいと考えるのもそのためです。

面接に当てはめると、他社から内定が出ていると優秀な人材に見える、というのがありがちです。確かに他社からの内定という一定評価を得ているのは事実ですが、自社に合うかどうかは別問題として考える必要があるでしょう。

類似性効果/同族嫌悪・同属嫌悪(似ている人を甘く/辛く評価する)

人は自分と似ている人に好奇心を抱きやすく、結果的に高く評価する傾向があります。
このバイアスにかかっていると、出身地が同じ・大学が同じ・学生時代の部活が同じ・考え方が似ている等、共通点の多い候補者を甘く評価してしまいがちです。

逆に、自分に似ている人を厳しく評価してしまう同族・同属嫌悪というバイアスもあります。
例えば面接官が海外留学を経験している場合、なまじ知っているだけに「留学くらい大した経験じゃない」と詳細を聞く前に判断してしまうことがありえます。

これらのバイアスに陥らないために、共通点が多くて盛り上がった面接や自分の詳しい分野の経験を持っている候補者の評価は一度冷静になって評価を見直す必要があります。

寛大効果傾向/観察者バイアス/中心化傾向(甘く/辛く/中心に評価する)

寛大化傾向は甘く評価してしまいがちになること、観察者バイアスは悪いところばかりに目がいってしまうこと、中心化傾向は評価が中心に偏ること。個人によってどのバイアスがかかるかは異なります。

自分だけでは気づかない場合があるので、他者の評価とのすり合わせを行うことで自分がどのバイアスに陥りがちかを把握するといいでしょう。

ツァイガルニク効果(失敗が記憶に残る)

人は成功よりも失敗のほうが記憶に残りやすいらしいです。
一度採用で失敗すると、その失敗を引きずってしまいがちです。
例えば、「東大生を採用したけど思ったように活躍しなかった、東大生は自社に合わない」などの誤ったバイアスを作り上げてしまう場合があります。
安易な法則は作らず、候補者個人を見るようにしましょう。

バイアスに気をつけて、正確な判断を

以上、陥りがちなバイアスを紹介しました。バイアスは深層心理からくるものなので、バイアスにかかってしまうこと自体は仕方ありません。
大事なのは、自分がどんな心理バイアスに陥りがちかを把握することで正確な判断をすることです。

ただ、ここで言いたいのは無用な心理バイアスは排除すべきということで、面接官の主観で判断してはならない、ということではありません。人が人を見る以上、主観が入ることは避けられませんし、無理に主観を排除する必要もありません。面接官同士の共通認識がとれるよう客観的な評価基準は設けるべきですが、最終的には面接官の主観や直感で判断するべきだと思います。

 

↓最後は『宇宙兄弟』で星加さんの名言で↓

情をはさむなってんならパソコンにでも決めさせりゃいい
人を選ぶのは結局"情"の部分でしょう

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出典:sukhumvitroad.blog.fc2.com