人事・採用担当者が長時間労働に陥りやすい3つの理由と対策
採用担当者はブラック労働?!
全国の人事・採用担当者の皆さんこんにちは。
賞与計算・支給は無事終わりましたでしょうか。本来嬉しいはずの賞与の季節が憂鬱になるその気持ち、分かります。
さて、働き方改革がしきりと叫ばれる昨今ですが、私たち人事、特に採用担当者の働き方について考えてみようと思います。
ちょうど先日、パラレル経営者としてご活躍の石倉秀明さんが「採用担当者にこそ働き方改革を」というメッセージで日程調整ツール「Skett」をリリースされましたね。
私たち採用担当者は、長時間労働やサービス残業などであまり話題になりにくいですが、実際には多くの会社で採用担当者が長時間労働をしてしまっているようです(特に、リソースが少ないベンチャー企業の採用担当者は激務が予想されます)。
本来、人事採用担当者は会社全体の働き方を考え、改善していかなければならないのに、自分たちは長時間働いてしまっているという矛盾を抱えてしまっています。
そういう私も、つい最近まで長時間労働をしてしまい、メンバーにもさせてしまっていたという反省の念も含めて、採用担当が長時間労働しやすい理由と対策についてまとめてみました。
採用担当者が長時間労働に陥りやすい理由
下記3つの理由で、採用担当者は構造的に長時間労働に陥りがちと考えています。
理由①:採用競争が激化・採用手法の多様化
1つ目の理由は、シンプルに業務量が増えていることです。
採用競争は激化の一途をたどり、優秀な人材を採用するために各社しのぎを削っており、よほどの人気企業でもなければ、ふつうに求人を出すだけでは求める応募は来ない状況にあります。
また、採用手法も加速度的に多様化しています。
ひと昔前であれば、中途採用ではリクナビNextなどの求人広告を出すか人材紹介会社に頼むかのほぼ2択でしたが、現在では「スカウト型転職サイト(しかも多数)」「Wantedlyなどの運用型採用メディア」「各種SNSの活用」「ダイレクトリクルーティング」「リファラルリクルーティング」「ミートアップなどのリアルの接触」「採用オウンドメディア」「自社で求人広告を運用」などなど、挙げればキリがないほどにとり得る手法が増えています。
当然、手法が増えたからといって人事部のリソースが増えるわけではないので、採用担当者の負担はどんどん重くなっています。
理由②:働く時間をコントロールしづらい
採用担当者は、候補者と社員の日程を調整する立場にあるので、自分の都合で働く時間を決められません。
候補者が夜の時間帯しか予定が空いてなければ、夜遅い時間からでも面接対応を行うのが当然ですし、休日に採用イベントがあれば当然対応しなければなりません。
また、人事という特性上差し込み作業が多いのも特徴です。社員からの人事総務関連のちょっとした質問・対応によって業務が細切れになってしまうこともしばしば。
採用担当者の皆さんなら、面接調整の途中で話しかけられて思考が切断されてしまい、またイチから調整し直した経験がきっとあるはず。
働く時間を自分で選べず、差し込み業務が多いことが、長時間労働が常態化する一因であるといえそうです。
理由③:SOSの声が上がりづらい
最後に心情的な要因です。
上記のように明らかに長時間労働になりやすく、そしておそらく長時間労働をしているであろう採用担当者ですが、そのことがメディア等で取り上げられることはほとんどないように思います。その理由は、採用担当者が長時間労働のSOSを上げづらいからなのではと考えています。
採用担当者がSOSの声を上げづらい要因は2つ考えられます。
1つ目は、人事という立場上何となく言いづらいから。前述のとおり、採用担当者は本来であれば会社全体の働き方を改善する立場なので、「長時間労働で辛い」と何となく言いづらい。また、会社として長時間労働是正の施策を行うにしても自分たちのことは後回しにしてまずは現場から、となりやすいのではと想像しています。
もう1つの要因は、採用担当者自身が仕事を楽しくやっているから。
採用業務は人と話す機会が多いこと、採用成功という比較的分かりやすい成果があること、そもそもモチベーションの高い人材がアサインされやすいこと、比較的若いメンバーがアサインされやすいこと、などから、長時間労働ではあるけれど楽しいので気にならない、というのはありそうです。
悪い言い方をすると、担当者のモチベーションに甘えて対策されてこなかったわけです。
採用担当者が長時間労働しないための対策
楽しんでいるなら長時間労働でもいい、という考え方をしていてはどこかで限界がくると思うので、構造上長時間労働になりやすい採用担当者がどうすれば労働時間を減らせるのかを考えてみました。
下記は、実際に私の会社で取り組んでいる対策です。
実際に取り組んでいることだけに、根本から問題を解決できるクリティカルなものではないですが、リアルな取り組みの一例として参考になれば幸いです。
対策①:1つの業務に集中する
できるだけ兼任しない
リソースの少ない中小・ベンチャー企業では採用担当専任ではなく、教育研修や人事制度・労務や総務等の他業務と兼任になっているケースが多くみられます。
しかし、基本的には人は兼務すればするほど効率が落ちていく生き物です。10のキャパを持っている人に2つの業務を兼務させても5+5=10の成果とはなりにくく、感覚値でいえば4+4の8くらい、3つ兼務させると2+2+2の6くらいしかパフォーマンスを発揮できないように思います。
とはいえ、急に完全に兼任をなくすのは不可能なので、「兼任は最大でも2つまで」というルールを決めました。
また、年間で3つの領域でやるべきことがある場合、3つすべてを少しずつ進めるのではなく、時期で区切って1つの領域に集中するように業務設計をしています。年間で見れば兼任はしていても、その瞬間でみれば1つの業務に集中できるようにしたわけです。
集中dayを設ける
社員からの日々の問い合わせ・要望に応えるのも人事の仕事である一方、それによって業務が細切れになって効率が落ちてしまう問題があります。
これを解決するため、自分の業務に集中できる集中dayを設けました。社員からの問い合わせ等に対応するメンバーを日替わりで決めて、それ以外のメンバーは集中できる場所で仕事をすることで、業務が細切れになることを極力防いでいます。
対策②:施策の撤退ラインを明確にする
先に述べたとおり、採用手法は加速度的に多様化しており、採るべき施策の選択肢は非常に増えています。
また、これらの新しい採用手法は、「やってみなくては分からない」「短期間では成果が出にくい」類のものが多いです。
こうなると、効果があるのかないのか分からない打ち手だけが膨大に増えてしまいます。
このように、新しい手法がどんどん増えていく現在だからこそ、撤退ラインを明確にしてから施策を始める必要があると思います。
私の会社では、1応募あたりにかける目安の時間を算出して、期待する時間対応募に満たない施策はやめる、という撤退ラインを決めています。
対策③:オペレーションをツールで効率化する
採用担当者の仕事は、「戦略・戦術立案」「面接・イベント」「オペレーション」の3つに大きく分けられます。
このうち、削減するべきはやはり面接日程調整等の「オペレーション」の時間です。
オペレーションの時間を削減するために、採用管理システムのTalentioを導入して、候補者管理・連絡・カレンダー登録などを一元管理しています。
↓Talentioにはユーザーインタビューしていただきました↓
また、メンバーのタスク管理と人材会社とのやりとりにBacklogを使い、タスク進捗確認のコミュニケーションコストを下げています。
便利なツールを使うことで業務が加速することはまだまだあるはず!
モチベーションが高いからこそ短い時間で高い成果を
前述のとおり、多くの企業の採用担当者はモチベーション高く働いており、だからこそ長時間労働をしてしまっている現状があると思います。
モチベーション高く働いているのは素晴らしいことなので、だからこそ採用担当だから長時間労働は仕方がないと思わず、短い時間で高い成果を出せるように考え抜く必要があるのではと思います。
私自身もまだまだなので、日々精進です。