なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

新卒一括採用廃止が与える人事業務への影響

人事の皆さんこんにちは。
気づけば年末です。賞与計算に年末調整、採用イベントへの出展など人事にとっては忙しい季節ですね。

さて、先日私の会社で「新卒一括採用の廃止」を発表し、若手ポテンシャル通年採用に切り替えました。

workplus.feedforce.jp

ということでこの記事では、新卒一括採用の廃止により人事業務にどのような影響があるかを整理してみたいと思います。

多様な応募者に対応する

まず当たり前なのですが、一括採用を廃止することで採用の対象が広がります。
これまで特定時期に就職活動をしていた学生のみを対象としていたものが、通年で応募を受け付け、かつ既卒や第二新卒層へとターゲットが広がるのです。

注)"廃止"という言葉の印象から、新卒採用をやめると勘違いされることがありますが、廃止は"採用"ではなく"一括"にかかっています。実際には採用活動を拡大する意図です。
そのあたりのまとめは下記記事を参照のこと

nabeharu.hatenablog.com

採用対象が広がることで、応募者のバックボーンや経験、キャリア観の醸成度合いなどが多様になることが予想されます。
これまで、「この時期に動く学生はこういう志向だ」とアタリをつけて活動することができましたが、今後はそうはいきません。多様な応募者へ適切にアプローチして、かつ自社にマッチする人材を見極める体制を整える必要があります。

また、募集時期が通年になることで「冬は集客・春に選考・夏にインターンして秋は企画」のようなシーズンごとに明確に分けられていた業務が、1年でまんべんなく発生することになりますので、その対応も必要です。

PDCA を回すサイクルが短くなる

今回、若手ポテンシャル通年採用に踏み切った一番の理由がこれです。
一括採用の廃止がなぜ PDCA サイクルの短縮につながるのか下記で説明します。

従来の新卒一括採用では、前述のとおり学生の活動傾向がシーズンごとに明確に分かれています。
例えばベンチャー企業に就職する学生であれば、多くの学生が下記のような動き方をしています。

  • 3年生の夏ごろにいくつかのインターンシップに参加する
  • 秋~冬にかけて合同セミナーなどに参加して、色々な業界や企業を広く浅く知る
  • 11月~1月ころに、インターンシップや合同セミナーで知った企業の中から気になった企業を個別に受け始め、3月ころまでに内定先を決める

学生の動きがシーズンごとに分かれているので、採用活動も当然シーズンごとに行うことになります。
上記でいえば、夏はインターン・秋は合同セミナー・冬に単独説明会と面接…というふうに。

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こうしてシーズンごとに施策を考えて採用活動を行うわけですが、ここで問題となるのが施策がうまくいかなかったときのリカバリーがしづらいことにあります。
例えば秋に合同セミナーを実施する戦略をとった企業が、何らかの理由で集客に失敗したとします。すると、当然その後の単独説明会への集客もうまくいかなくなり採用活動全体が失敗してしまう可能性があります。

そして何より、うまくいかなかったことの要因を分析しても次に活かせるのは1年後というのが致命的です。
例えば秋の合同セミナーで集客に失敗した要因が、説明する内容やテーマが今の学生のニーズと合ってなかったということが判明しても、その反省を活かせるのは1年後。1年も経てば自社の状況も学生の志向も変わっている可能性が高く、結局反省を活かせません。

こうして考えると、新卒採用活動はきわめて PDCA を回しづらい、事前に決めた施策が当たるか当たらないかにかけるバクチに近い活動なのではと感じたのが新卒一括採用廃止に踏み切った理由です。
環境変化が激しく、小さく失敗して細かく改善していくのが当たり前の時代において、PDCA を1年単位でしか回せない活動を続けるべきではないと。

一括採用を廃止して、採用対象が広がれば応募者の活動する時期にバラつきが出ます。
そうなれば、例えば冬の新卒向けの集客に失敗したのであれば春に第二新卒向けの施策を企画してリカバリー、などのセカンドプランを考えることができるようになるのです。
採用対象が多様化することで1年単位ではなく、1か月単位で採用計画と施策の見直しができるようになります。

↓PDCA でいうと最近読んだ下記の本が参考になりました↓

新入社員研修が年に1度ではなくなる

最後に。これは人事にとっては負担が増える問題です。

従来の新卒採用活動であれば入社は毎年4月に固定されていました。毎年同じ時期にまとまって新入社員が入社することは、教育面からみると非常に効率が良いです。
特に新卒社員はビジネスマナーや業界基礎知識など、座学でまとまって受けるのに適した研修が必要ですので。

新卒一括採用を廃止して応募者が多様化すると、当然入社時期はバラバラになるので一工夫必要ですね。
ヤフーさんは入社時期を4月と10月のどちらかを選択できるようにしているとのこと。入社希望者にとっても研修実施者にとっても良い落としどころだと思います。

 

以上、新卒一括採用を廃止すると人事業務にどんな影響を与えるか、という視点でまとめてみました。参考になれば幸いです!

Wantedly の何がすごかったのか

こんにちは、なべはるです。

皆さんの会社では Wantedly で求人を出してますでしょうか?
気づけばスタートアップから大手企業まで Wantedly で求人を出すのがスタンダートになりつつあり、Facebook で Wantedly の求人がシェアされているのを見ない日はありません。

今日は、そんな Wantedly の何がすごかったのかを考察してみようと思います。

Wantedly の概要

Wantedly は2010年に設立された、ビジネスSNS を提供する会社です。ミッションは「シゴトでココロオドル人を増やす」こと。
冒頭で紹介したような求人(※)掲載の Wantedly VISIT のほか、名刺管理の Wantedly PEOPLE などのサービスも出しています。

※厳密には Wantedly VISIT は転職サイトではなく、載っている情報は「求人」ではないのですが実質的には企業も応募者も求人として利用しているので、ここでは求人と表記します。

www.wantedly.com

2017年の8月10日にマザーズに上場しました。INST の石野さんが「この上場はココロオドラない」という趣旨の記事を書き、それに対する DMCA にもとづく削除申請などもあり話題になりましたね。

が、この記事ではそこは本題ではありません。
焦点としたいのは、なぜ求人サイト後発の Wantedly が設立から7年で上場するほどに成長することができたのか、という点です。

厳密な調査のもとではなく、あくまでいちユーザーとしての仮説ですのでその点ご了承くださいませ。

ビジネスモデルは一見普通

Wantedly の主な収入源は求人掲載企業からの月額利用料金です。
料金表によると、利用料は月3~9万円、1年間掲載すると36~108万円。これが Wantedly の主な収入源となっています。

こういった掲載課金型のビジネスモデルはずっと昔からあるもので、たとえばリクナビNEXTや DODA なども月いくらの求人掲載料をとるビジネスモデルです。

求人掲載料型の転職サイト・求人サイトは数多く存在します。
↓主要のものをまとめただけでも44サイト。零細のものを含めればその何倍もあるでしょう。

【要保存】転職求人サイト“全44サイト”を一覧まとめ紹介 - 転職求人サイト・転職エージェントを徹底紹介!「転職サイト図鑑」

このように、「企業の求人を載せて利用料金をとり、応募者を集めてマッチングさせる」というビジネスモデル自体はごくごくふつうの Wantedly がなぜここまで普及したのでしょうか?

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Wantedly さんのオフィス すごいオシャレ!

(Wantedlyのオフィス設計を支える思想より)

SNS でシェアすると応募が増える概念を生み出した

Wantedly 成功の要因について、いくつか見かけるものがあります。

  • あえて待遇面を書かずにビジョンや社風マッチを重視したこと
  • 「話を聞きに行きたい」というカジュアルなエントリーを用意したこと
  • 営業活動よりも開発に注力し、しばらくは専任の営業担当をおかなかったこと
  • スタートアップやベンチャー企業など、既存の転職サイトに高いお金を払えない層をターゲットにしたこと

などなど。
これらはすべて成功要因のひとつだと思うのですが、私がいちばんすごいことだと感じているのは、「求人記事を SNS でシェアすると応募が増える」という概念を業界に浸透させたことです。

Wantedly で求人を作成すると、SNS でシェアして求人を応援しましょう!とシェアを強く勧めてきます。「応援する」ボタンを押すと Facebook や Twitter で求人をシェアすることができるのです。
社員全員が協力して求人をシェアすると、それなりのリーチ数になります。しかも社員が SNS でつながっている人には自社の求める人材がいる確率も高いことから、シェア拡散による応募増⇒採用成功とつながりやすくなるのでしょう。
これまで転職サイトが担っていた候補者獲得を(料金が安い代わりに)、求人掲載企業に担ってもらっているともいえます。

今となってはごく当たり前の、この採用手法ですが当時としてはとても画期的でした。集客を人材会社に任せないやり方があるなんて!と。

この手法で、多くのスタートアップやベンチャー企業が Wantedly を使って採用に成功します。しかも、既存の転職サイトに比較してはるかに安い費用です。
そして、Wantedly を使うと安い料金で優秀な人材を採用できるらしい!ポイントは SNS でシェアすることだ!という評判がベンチャー企業を中心に広がっていきました。IT/Web 系のベンチャー企業にとって SNS によるシェアという手段は違和感なく受け入れられたこともあり、さらに多くの企業の採用実績を作り、掲載することが当たり前という今の状況に至ったのだと思うのです。

まとめると、

  • SNS でシェアすると採用成功するという概念を生み出し、実際に成功させた
  • スタートアップ、ベンチャー企業という当時のターゲット企業に SNS のシェアという手法の相性が良かった
  • 今では、利用料金が安くて採用につながるサイトとして、掲載するのが当たり前に

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SNS でシェアすれば応募が増えるのは Wantedly を利用しなくてもできる?

上述のように、社員が求人記事を SNS でシェアすると応募が増えて採用が成功する確率が高まります。
その仕組みをうまく時代の流れをとらえて成功させたのが Wantedly なわけですが、この手法のポイントは「SNS でシェアすること」であり、Wantedly を使うこと自体ではないような気もします。

まだ検証しているわけではないので仮説段階ですが、Wantedly 以外の求人記事を同様に SNS でシェアすることでも、採用成功に近づくのではと思っています。

実際、メルカリさんは2016年頃から、Wantedly ではなくオウンドメディアのメルカンを立ち上げ、採用に成功しているようです。

SNS でシェアする以上、転職にそこまで前向きでない方もターゲットになるため、遷移先のページに「話を聞きたい」「カジュアルエントリー」などのカジュアルな入り口を設けることは必須になりそうですが、工夫しだいでやれそうな気もします。
こういった、Wantedly 以外の採用手法の流れにも注目ですね!

 

以上、Wantedly の成功の要因を考察してみました。
この流れをふまえると、今後ますます人材会社や転職サイトに頼らない、各社独自の工夫や運用が重要になってくるのだと予想しています。
もちろん、人材会社に依頼するメリットもあるので自社だけでやる/人材会社に依頼する、の二元論ではないのですが。

 

(2017.12.14 追記)

と、いうわけで自社広報オウンドメディアを立ち上げました!
自社のミッション「働く」を豊かにするをコンセプトに情報発信を行い、ミッションに共感する人を増やしたいという思いです。
立ち上げの背景や裏側など、いつか記事にできればと思います。

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魅力的な求人原稿とは何かを言語化してみる

魅力的な求人原稿の書き方が分からない

中途採用を始める際、必ず自社HPや求人サイトに求人原稿を掲載するかと思います。
あるいは、転職エージェントやハローワーク等に求人票を提出することもあるでしょう。
これらの、求人原稿・求人票を魅力的に書く方法、皆さんはご存知でしょうか?
恥ずかしながら、私は7年以上人事の仕事をしているにも関わらず、よく分かっていませんでした。ぶっちゃけて言うと、これまで「何となく」でやっていました。

このままじゃいかんなー、という気持ちもあり、現時点での私なりの「イケてる求人原稿」とはどんなものかを言語化してみます。
あくまで現時点での私の考えなので、ご意見などあれば是非教えてください。

ちなみに、AIで求人票を採点してくれる「Findy Score」というサービスがあります。適切な文章量や箇条書きの数、不適切な語句を使ってないか等をチェックしてくれるのでオススメです。

findy.us

私の会社では、とりあえずFindy Score を通して指摘された箇所を修正し、80点以上になってから公開するというフローにしています。

とはいえ、Findy Score でできるのはあくまで機械的なチェックのみで、自社の魅力が適切に表現されているかまでは分かりませんので、そこは人の力で行う必要があります。

下記は、私なりに考えた、魅力的な求人原稿の条件です。

ペルソナが明確になっている

当たり前のことですが、ターゲット人材が変われば伝えるべきことが変わります。
最低限、下記項目を明確にしておく必要がありそうです。

  • どんな企業で働いていて、どんな仕事をしているか
  • 何を仕事のモチベーションにしているか
  • 想定される転職理由は何か

特に想定される転職理由を具体的にイメージできているかが重要です。
「大企業のマーケティング部門で実績を上げてきて仕事も収入も満足しているけど上が詰まっているのでマネジメント経験を積めるのは5年以上先になりそう」
とか、
「独学で技術力を身につけた結果、社内で一番技術に詳しくなり頼られる存在になった。好きな仕事はできているけれど今後のスキルアップに不安。自分よりもレベルの高い人と技術についてディスカッションしながら仕事をしたい」
とか。
候補者のキャリアと心情に合わせて自社の勝負できる要素を結び付けられているかがポイントです。

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ペルソナによって求人を分ける

同じ職種の求人であっても、ペルソナが複数になる場合があります。
その場合は、無理に1つの求人にまとめずに複数に分けて求人原稿を作ったほうがよさそうです。複数のペルソナを想定して記事を書いても、結局誰にも伝わらない原稿になってしまいます。

最近の求人サイトは複数記事を出せるタイプのものが多いので、使わない手はないですね。

募集背景がストーリーとして伝わってくる

ペルソナを定めたところで、いよいよ書き始めましょう。
多くの求人原稿のトップ(一番最初に読むところ)には募集背景を書く欄があります。最初に読む重要な箇所にも関わらず、割と無機質に書いてある場合が多くあります。

募集背景の項目では、何を目指しているチームで、どんなことを成し遂げたくて、そのために今どんな状況で、だからこういう人を募集している、と募集の背景がストーリーとして伝わってくると興味を持ちやすいように思います。

悪い例)
事業好調のため人事部を増員します
欠員がでたため補充します

良い例)
"●●"というミッションを実現するために年間で新卒●名、中途で●名採用する必要があります。
現状、人事部は2名おり、1名は中途採用専任。もう1名は新卒採用担当業務と制度企画、教育研修などを兼任している状況です。更なる組織の発展のためより採用を強化するために、新卒採用専任担当者を1名探しています。

この、「募集背景をストーリーで」という点で一番すごいなと感じたのはdivさんの下記の求人。分かりやすいし面白いし、思わず応募しそうになっちゃいました笑。

www.wantedly.com

仕事内容・求める人材・配属先の環境の記載が具体的でイメージがわく

普通に求人を書くとどうしても表現が抽象的になりがちですが、具体的な表記のほうが仕事のイメージが湧きます。

仕事内容

その仕事を通じて成し遂げてほしいこと・期待したいこと・仕事の内容等が できる限り具体的に記載されていると、求職者が自分にマッチしそう/しなさそうという判断をつけやすくなります。

(悪い例)
新卒採用に関する業務全般を担っていただきます

(良い例)
新卒採用活動を通して会社のミッションを達成できる組織を作っていくことを期待します。
「求める人材像の設定」「採用コンセプトの策定」などの企画立案から、「採用イベント登壇」「候補者との面接・面談」「面接調整」など幅広くご担当いただきます。
現在の主な集客方法は逆求人イベント、ベンチャー企業合同セミナーなどですが、その手法に固執していません。より良い手法を自分で企画し、どんどん提案してください。
新卒採用業務以外にも、教育研修や人事制度の企画・整備など、希望しだいで他の人事業務に携わるチャンスもあります。

任せたい仕事の他に、今後のキャリアの広がりについて言及するのも良さそうですね。

求める人材(必要なスキル・経験)

求める人材についても、具体的な表現にできると更に仕事のイメージが湧きやすくなります。

(悪い例)
・新卒採用の実務経験

(良い例)
・採用戦略から企画、立案、実行の経験
・候補者との1対1での魅力付け、クロージングの経験
・構造的面接の実施経験

新卒採用の実務経験だけではざっくりし過ぎているので、こう書いたほうがマッチした人材が応募してくれそうです。

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配属先の環境

入社したらどんなチームで、どんな環境で働くのかも具体的な表現にできると更に良いです。
ついつい、「風通しの良い社風です」とか抽象的な表現使っちゃいがちなので注意が必要です。

(悪い例)
風通しが良く、なんでも言える環境です

(良い例)
人事部は2名で構成されています。
◆マネジャー 30代 男性
制度企画・教育研修・新卒採用を担当
◆メンバー 20代 女性
中途採用を担当
◆今回の募集ポジション
マネジャーから新卒採用業務を引き継いでいただく予定です

採用管理システムにTalentio、タスク管理にBacklog、社内コミュニケーションにはSlackとQiita:Teamを利用しています。業務を効率化できるツールは積極的に活用していきます。
隔週でマネジャーと1on1Mtgを行い、業務支援・成長支援を行っています。

利用しているWebサービスの記載があると、職場の具体的なイメージがわきやすいですね。

求人原稿は自社の社員が書くべき

最後に。色々書いてきましたが、私自身もまだまだ勉強中で、とりあえず今思っていることを言語化したにすぎません。

ただ1つ言えるのは、求人原稿を書くという仕事は非常にクリエイティブな仕事であり、外注するべきではないということです。
ペルソナの設定・自社の魅力の整理・求職者の求める情報と自社の資源の接点を探して表現する...など、どれも自社の社員でなければできないことです。また、内容は日々改善していくものでもあります。

求人サイトによっては執筆代行サービスがあるところもありますが、長期的に見れば自社の社員が書いてノウハウを資産として貯めていったほうが良いように思います。

 

それにしても、「魅力的な求人原稿の書き方」って全然情報がないんですよね。各社のノウハウを聞いてみたいものです。

求人原稿をデータで管理する時代が来ることを切望する

コピペ・コピペ・コピペ!採用担当者を悩ます転職サイトの求人記事入稿

人事・採用担当者にとって重要な仕事の1つに、転職サイト、求人サイトの求人記事の執筆・管理があります。
ターゲット人材のペルソナを定め、自社で働く魅力が伝わりような、かつミスマッチが生まれないように表現する...人事の腕の見せ所ですね。

それはいいんです。新規で求人記事を書くのはクリエイティブで楽しい。今回取り上げたいのは、1度書いた求人記事の修正・他媒体への展開作業についてです。
募集背景を少し修正したい・配属チームに変更があった・求める人材の要件が変わった・会社の住所や資本金など基本情報が変わった...などなど、一度書いた求人原稿を修正したくなることは度々あります。
厄介なのは、ちょっとした修正であっても公開している全ての求人記事を修正しなければならないことです。

例えば貴方が、10コの求人媒体を使っていて、5つの職種を募集、1職種あたり2つの求人記事を作っていたとすると、10×5×2=100コの求人記事を管理していることになります(最近では同じ職種でも複数の求人記事を作成するのが主流となっています)
ある日、全ての求人記事に掲載していた「代表からのメッセージ」を変更したいと思い立ち、修正作業を始めるとすると......。

そう、100コの求人の管理画面を開き、ひたすらコピペを100回繰り返さなければならないのです。

ひ た す ら コ ピ ペ を 1 0 0 回 繰り返さなければならないのです。

大事なことなので2度言いました。

このコピペの作業がひたすらしんどい。必要なこととはいえ、頭が朦朧としてくるしctrキーを押さえる左手小指はつりそうになってくるし、自分は一体何の仕事をしてるんだっけ?と空しくなってきます。

HRTechが盛り上がって、エントリーシートや面接の判定をAIが担う未来が見えているこの時代において人事がこんな単純作業で疲弊をしていては絶対ダメだと思うのです。

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求人原稿はチューニングしていくもの

本来、効果的な求人記事にするために、記事の原稿は細かくチューニングしていくべきものです。特に変化の速い現在においては、社内の状況・求める人材像・ターゲット人材・プロダクトやサービスの状況など、日々変化しています。当然、これらが変化すれば求人記事の内容や表現も変えていく必要があります。

しかし、上述の通り、何か1つでも修正しようとすると、地獄の100回コピペ作業が待っています。これでは、記事をチューニングしてより良いものにしようというモチベーションが中々生まれません。

csvファイルで原稿をアップロードできれば解決

この、地獄のコピペ100回問題は、各求人サイトにcsvファイルで原稿をアップロードできる機能がついていれば回避できます。

「求人タイトル」「仕事内容」「募集背景」「必須スキル」「歓迎スキル」「配属先の環境」など、その求人サイトが定める形式のcsvファイルを用意して、それをアップロードすることで原稿の入稿・更新ができる機能さえあれば、ほとんどの問題が解決するのです。
人事は求人のマスタデータだけ用意しておき、あとは各サイトの形式に合わせてcsvファイルを作成すればいいだけです。管理する対象が100コの求人記事から、1つのマスタデータになり、求人原稿のメンテナンスが格段にしやすくなるはずです。

人材会社の皆さま、求人原稿をデータで管理する(私の)準備は万端です

ここからは、「求人サイトにcsvによる原稿アップロード機能がついたとして...」という前提で進めます。

csvファイルで求人原稿をアップロードできる機能さえあれば「ほとんどの問題」が解決できると書きましたが、実は1つ問題が残っています。

それは、求人マスタデータから各媒体ごとフォーマットへのcsvファイルへの変換作業が残る、ということです。

マスタデータを作っても、ある媒体は1つの項目に「仕事内容+求める人材」を要求してきたり、待遇表記が「年収●●万円」だったり「月給●●万円」だったりと様々です。
そういった求人サイトのクセに合わせて、求人マスターデータを求人サイトごとのcsvファイルに変換する必要が出てくるのです。

しかしご安心ください。その問題は既に(私の中では)解決しています。

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求人原稿をデータフィードで変換する

私の会社で出している「dfplus.io」というWebサービスがあります。
自社で保有する商品データを広告媒体に合わせて変換することで、商品データを用いた広告(データフィード広告)を出すことができる、セルフサーブ型のデータフィード管理ツールです。

dfplus.io

本来は広告運用担当者が広告配信のために使うツールですが、商品データ = 求人原稿データ、配信先の広告媒体 = 求人サイト と考えると求人原稿のデータもサイトに合わせて変換することが可能です。

利用ステップは下記のとおり。

  1. 求人マスタデータをdfplus.ioにアップロードする
    (後に変換しやすいよう、項目を細かく分けるのがコツ。後で項目と項目を足すことはできても、1つの項目を分割するのは難しい)
  2. 求人サイトごとにデータの変換ルールを作成する
    (求人サイトのクセに合わせて変換ルールを作る。年収表記→月給表記も、年収÷12、などのルールを設定しておけばOK)
  3. 変換した求人データをcsvファイルでダウンロードする
  4. 3でダウンロードしたファイルを求人サイトにアップロードして入稿
  5. 原稿の修正が発生したら、マスタデータを変更してdfplus.ioにアップロード→3,4のステップをするだけ
    変換ルールは作ってあるので、マスタデータの更新をしたらデータを吐き出して入稿するだけ

このとおり、求人原稿をデータで管理することの(私の)準備は万端です。あとは、各種求人サイトにデータアップロードによる入稿機能がつくだけです。

どうか、地獄のコピペ100回作業をなくして、人事が本来やるべき業務に集中できるよう、機能追加を検討いただけませんでしょうか。
あるいは、APIを公開いただければdfplus.ioに求人サイトへの配信機能が追加される...かも...??(適当)

 

↓人事がブラックに働きがちな要因についてまとめた記事もあります↓

nabeharu.hatenablog.com

人事・採用担当者が長時間労働に陥りやすい3つの理由と対策

採用担当者はブラック労働?!

全国の人事・採用担当者の皆さんこんにちは。
賞与計算・支給は無事終わりましたでしょうか。本来嬉しいはずの賞与の季節が憂鬱になるその気持ち、分かります。

さて、働き方改革がしきりと叫ばれる昨今ですが、私たち人事、特に採用担当者の働き方について考えてみようと思います。

ちょうど先日、パラレル経営者としてご活躍の石倉秀明さんが「採用担当者にこそ働き方改革を」というメッセージで日程調整ツール「Skett」をリリースされましたね。

hares.jp

私たち採用担当者は、長時間労働やサービス残業などであまり話題になりにくいですが、実際には多くの会社で採用担当者が長時間労働をしてしまっているようです(特に、リソースが少ないベンチャー企業の採用担当者は激務が予想されます)

本来、人事採用担当者は会社全体の働き方を考え、改善していかなければならないのに、自分たちは長時間働いてしまっているという矛盾を抱えてしまっています。

そういう私も、つい最近まで長時間労働をしてしまい、メンバーにもさせてしまっていたという反省の念も含めて、採用担当が長時間労働しやすい理由と対策についてまとめてみました。

採用担当者が長時間労働に陥りやすい理由

下記3つの理由で、採用担当者は構造的に長時間労働に陥りがちと考えています。

理由①:採用競争が激化・採用手法の多様化

1つ目の理由は、シンプルに業務量が増えていることです。
採用競争は激化の一途をたどり、優秀な人材を採用するために各社しのぎを削っており、よほどの人気企業でもなければ、ふつうに求人を出すだけでは求める応募は来ない状況にあります。

また、採用手法も加速度的に多様化しています。
ひと昔前であれば、中途採用ではリクナビNextなどの求人広告を出すか人材紹介会社に頼むかのほぼ2択でしたが、現在では「スカウト型転職サイト(しかも多数)」「Wantedlyなどの運用型採用メディア」「各種SNSの活用」「ダイレクトリクルーティング」「リファラルリクルーティング」「ミートアップなどのリアルの接触」「採用オウンドメディア」「自社で求人広告を運用」などなど、挙げればキリがないほどにとり得る手法が増えています。

当然、手法が増えたからといって人事部のリソースが増えるわけではないので、採用担当者の負担はどんどん重くなっています。

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理由②:働く時間をコントロールしづらい

採用担当者は、候補者と社員の日程を調整する立場にあるので、自分の都合で働く時間を決められません。
候補者が夜の時間帯しか予定が空いてなければ、夜遅い時間からでも面接対応を行うのが当然ですし、休日に採用イベントがあれば当然対応しなければなりません。

また、人事という特性上差し込み作業が多いのも特徴です。社員からの人事総務関連のちょっとした質問・対応によって業務が細切れになってしまうこともしばしば。
採用担当者の皆さんなら、面接調整の途中で話しかけられて思考が切断されてしまい、またイチから調整し直した経験がきっとあるはず。

働く時間を自分で選べず、差し込み業務が多いことが、長時間労働が常態化する一因であるといえそうです。

理由③:SOSの声が上がりづらい

最後に心情的な要因です。
上記のように明らかに長時間労働になりやすく、そしておそらく長時間労働をしているであろう採用担当者ですが、そのことがメディア等で取り上げられることはほとんどないように思います。その理由は、採用担当者が長時間労働のSOSを上げづらいからなのではと考えています。

採用担当者がSOSの声を上げづらい要因は2つ考えられます。
1つ目は、人事という立場上何となく言いづらいから。前述のとおり、採用担当者は本来であれば会社全体の働き方を改善する立場なので、「長時間労働で辛い」と何となく言いづらい。また、会社として長時間労働是正の施策を行うにしても自分たちのことは後回しにしてまずは現場から、となりやすいのではと想像しています。

もう1つの要因は、採用担当者自身が仕事を楽しくやっているから
採用業務は人と話す機会が多いこと、採用成功という比較的分かりやすい成果があること、そもそもモチベーションの高い人材がアサインされやすいこと、比較的若いメンバーがアサインされやすいこと、などから、長時間労働ではあるけれど楽しいので気にならない、というのはありそうです。
悪い言い方をすると、担当者のモチベーションに甘えて対策されてこなかったわけです。

採用担当者が長時間労働しないための対策

楽しんでいるなら長時間労働でもいい、という考え方をしていてはどこかで限界がくると思うので、構造上長時間労働になりやすい採用担当者がどうすれば労働時間を減らせるのかを考えてみました。

下記は、実際に私の会社で取り組んでいる対策です。
実際に取り組んでいることだけに、根本から問題を解決できるクリティカルなものではないですが、リアルな取り組みの一例として参考になれば幸いです。

対策①:1つの業務に集中する

できるだけ兼任しない

リソースの少ない中小・ベンチャー企業では採用担当専任ではなく、教育研修や人事制度・労務や総務等の他業務と兼任になっているケースが多くみられます。

しかし、基本的には人は兼務すればするほど効率が落ちていく生き物です。10のキャパを持っている人に2つの業務を兼務させても5+5=10の成果とはなりにくく、感覚値でいえば4+4の8くらい、3つ兼務させると2+2+2の6くらいしかパフォーマンスを発揮できないように思います。

とはいえ、急に完全に兼任をなくすのは不可能なので、「兼任は最大でも2つまで」というルールを決めました。
また、年間で3つの領域でやるべきことがある場合、3つすべてを少しずつ進めるのではなく、時期で区切って1つの領域に集中するように業務設計をしています。年間で見れば兼任はしていても、その瞬間でみれば1つの業務に集中できるようにしたわけです。

集中dayを設ける

社員からの日々の問い合わせ・要望に応えるのも人事の仕事である一方、それによって業務が細切れになって効率が落ちてしまう問題があります。
これを解決するため、自分の業務に集中できる集中dayを設けました。社員からの問い合わせ等に対応するメンバーを日替わりで決めて、それ以外のメンバーは集中できる場所で仕事をすることで、業務が細切れになることを極力防いでいます。

対策②:施策の撤退ラインを明確にする

先に述べたとおり、採用手法は加速度的に多様化しており、採るべき施策の選択肢は非常に増えています。
また、これらの新しい採用手法は、「やってみなくては分からない」「短期間では成果が出にくい」類のものが多いです。
こうなると、効果があるのかないのか分からない打ち手だけが膨大に増えてしまいます。

このように、新しい手法がどんどん増えていく現在だからこそ、撤退ラインを明確にしてから施策を始める必要があると思います。
私の会社では、1応募あたりにかける目安の時間を算出して、期待する時間対応募に満たない施策はやめる、という撤退ラインを決めています。

対策③:オペレーションをツールで効率化する

採用担当者の仕事は、「戦略・戦術立案」「面接・イベント」「オペレーション」の3つに大きく分けられます。
このうち、削減するべきはやはり面接日程調整等の「オペレーション」の時間です。

オペレーションの時間を削減するために、採用管理システムのTalentioを導入して、候補者管理・連絡・カレンダー登録などを一元管理しています。
↓Talentioにはユーザーインタビューしていただきました↓

corp.talentio.com

また、メンバーのタスク管理と人材会社とのやりとりにBacklogを使い、タスク進捗確認のコミュニケーションコストを下げています。

便利なツールを使うことで業務が加速することはまだまだあるはず!

モチベーションが高いからこそ短い時間で高い成果を

前述のとおり、多くの企業の採用担当者はモチベーション高く働いており、だからこそ長時間労働をしてしまっている現状があると思います。

モチベーション高く働いているのは素晴らしいことなので、だからこそ採用担当だから長時間労働は仕方がないと思わず、短い時間で高い成果を出せるように考え抜く必要があるのではと思います。

私自身もまだまだなので、日々精進です。

転職エージェントに良い人材を紹介してもらうポイントまとめ

いかにエージェントに良い人材を紹介してもらうか

ここ数年、ITベンチャー企業を中心に人材不足の状況が続き、各社の採用担当はそれぞれの工夫をこらして採用競争を闘っています。
ひと昔前では中途採用といえば求人媒体に広告を出して応募を待つというやり方が一般的でしたが、現在はダイレクトリクルーティング、リファラルリクルーティングなど様々な手法が生まれていますね。

わたしのブログの中では、ダイレクトリクルーティングに焦点をあてた記事を書いています。 

nabeharu.hatenablog.com

今回は、そういった流行りのやり方ではなく採用手法としてはごく一般的な、転職エージェントに良い人材を紹介してもらうためのポイントをまとめてみました。

尚、今回の記事は、ある大手転職エージェントで10年間務めている知り合いに3時間かけて話を聞いたこと + 自分自身のエージェントとしての経験をまとめたものです。
私の会社でもまだできていないことがたくさんあるので、これからやるぞという宣言も込めて書いてみました。

エージェント担当者の仕事を知る

まず前提ですが、転職エージェントの方は一緒に採用プロジェクトを成功させるための仲間でありパートナーです。良きパートナーとなってもらうには、エージェントで働く人の気持ちとなって考えることが第一歩。そのために、まずはエージェント担当者の仕事をおさらいしましょう。

通常、エージェントでは企業担当者と候補者担当者に役割が分けられます。

企業担当者の仕事

企業担当者(以下企業担当)は、紹介先企業の窓口となる役割です。私たち採用担当者が日常的にやり取りをしているのが企業担当ですね。

少なくとも10数社、多い場合は50社もの企業を担当し、企業から求める人材像をヒアリングし、社内の候補者担当(後述)に伝えることで人材のマッチングを行います。
候補者担当へ案件を紹介する手法は人や会社によってそれぞれですが、データベースへ登録するだけでは候補者担当は案件を認識してくれないので、メール・案件勉強会・候補者担当のデスクへ直接訪問などして、何とか候補者担当に担当案件を知ってもらう努力をすることになります。

自分が担当する企業に紹介した候補者が入社することで得られる成果報酬の金額が営業目標となります。

候補者担当者の仕事

候補者担当者(以下候補者担当)はその名のとおり、候補者(求職者)との窓口となります。
新規で登録する候補者にマッチする企業を紹介したり、過去登録した候補者に新規案件が出た際に紹介することでマッチングを行います。

企業担当と同様、自身が担当する候補者が入社することで得られる成果報酬の金額が営業目標となります。

 

会社によっては企業担当と候補者担当を分けずに1人で兼任するケースもありますが(両面とか両手とかいいます)、大手のエージェントであれば上記のとおり担当が分けられていることが一般的です。

以上から、候補者からの応募意思を受けるまでの情報の流れをまとめると下記のとおりです。

企業の採用担当→エージェントの企業担当→エージェントの候補者担当→候補者

自社の求人情報を候補者に知ってもらうには、このように情報が伝達されているわけです。この情報の流れをふまえたうえで、エージェントに良い人材を紹介してもらうためのポイントは下記の3点です。

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企業担当をやる気にさせる

まず企業とエージェントの窓口となる企業担当をやる気にさせることが第一です。この会社に候補者を紹介したいと思ってもらわなければ話は始まりません。
仕事なんだからやる気はあって当たり前だろうと考えられるかもしれませんが、ここでいうやる気は、(数多く持つ案件の中から)自社に候補者を紹介してもらうやる気」のことです。
上述のとおり、企業担当者は自分の担当する企業に紹介した成果報酬の金額で営業数値を持っています。営業数値を追いかける担当者の気持ちを考えれば当然、自身の営業目標の達成に近づくアクションから優先的にとります。もっと直截的にいえば、「決まりそうなイメージ」がわく企業に優先的に候補者を紹介するわけです。

エージェントに良い人材を紹介してもらうには、「自社に候補者を紹介すると決まりそう」とイメージしてもらうのが大事なわけです。
そのためのポイントは下記のとおりです。

企業担当をやる気にさせるポイント

  • 事業内容をしっかりと理解してもらう
    まずは基本ですが、事業の特徴・強み・他社との差別化・独自性などをしっかりと理解してもらいましょう。シンプルに「この会社良い会社だな!」と思ってもらうことが第一歩です。
  • 採用ポジションの意図と重要性を伝える
    自社の目指すミッション、戦略を伝え、その採用ポジションがどんな意味を持つかを伝えましょう。「欠員補充だから募集してます」よりも、「○○というミッション達成のために1年以内に●●事業を立ち上げる必要があり、そのための人材が必要。この事業が成功すれば▲▲の価値を生み出すことができます」と説明されるほうが誰だってやる気になります。
  • 募集ポジションごとの入社する理由を明確にする
    一番重要なポイントで、後にも出てきます。
    当たり前の話ですが、人は理由がなければ転職しません。応募する人材がどういう理由(仕事内容、裁量、給与、労働環境等)で転職する可能性がありそうかを明確に伝えましょう。

エージェントの方とのキックオフの打ち合わせにて上記をしっかり伝えて「この会社に紹介したい」と企業担当に思ってもらうことが第一のポイントです。

企業担当が候補者担当にアピールしやすくする

次のポイントは、候補者担当へのアピールです。
上述のとおり、企業担当→候補者担当→候補者へと情報は流れますので、候補者担当にいかに自社の案件を知ってもらうかが重要となります。
言い換えれば、企業担当が候補者担当にアピールするための武器を提供することがポイントです。

企業担当が候補者担当にアピールするための武器を提供

  • 定期的に案件情報をアップデートし、企業担当に伝える
    メール、電話などやり方は色々あるかと思いますが、自社の最新の案件情報を常にエージェントに伝えることが大事です。企業担当が候補者担当に案件を伝達するキッカケとするためにも1か月に1度は行いたいものです。
  • 案件情報・候補者への推しポイントを分かりやすい資料にする
    企業担当が候補者担当へアピールできるよう、会社概要・事業内容とその特徴・求める人材像・想定する応募理由などを分かりやすくまとめた資料を用意するとよさそうです。会社によってはその資料をそのまま候補者担当に展開してくれるでしょう。
  • 合格の理由・不合格の理由を明確に伝える
    エージェントを利用していて、最初から求める要件とピッタリ合った人材が紹介されることは滅多にありません。企業担当とコミュニケーションをとりながら求める人材イメージをチューニングしていくのが普通です。その際に、合否の理由が不明瞭なままだといつまで経ってもチューニングがされません。
    また、企業担当が候補者担当に不合格を伝える際に、「よく分からないけど不合格だった」となれば候補者担当はその企業に紹介する気がなくなってしまいます。逆に不合格であっても理由が明確であれば、「だったらあの人だったらマッチするかも」と別の候補者にアプローチしてくれるかもしれません。

企業担当とのキックオフの打ち合わせ後も、上記のとおり自社のことを継続的にアピールしていきましょう。

候補者担当が候補者にアピールしやすくする

最後に、候補者担当が候補者にアピールしやすくするポイントです。1つ前のポイントと同様に、候補者担当が候補者にアピールするための武器を用意してあげるという発想で考えてみます。

候補者担当が候補者にアピールするための武器を提供

  • 案件説明会を開く
    エージェントに訪問して、候補者担当に直接自社のアピールをするやり方です。企業担当者から又聞きするよりも、企業から直接話を聞くことでより深くその企業のことを知ってもらうことができます。
  • 求人票が全て
    職種によっては、1人の候補者に紹介する案件が20~30、それ以上ということもありえます。求人票の束がドサっと候補者に渡されるわけです(渡された経験あり)。その中から自社に応募してもらう意思を勝ち取らなければならないので、求人票はとても大事です。自社の魅力がしっかり伝わっているか・求人票を読んで応募する理由が明確に思い浮かぶか、改めて読み返してみるといいでしょう。

エージェントの気持ちを知り、良きパートナーとなる

以上、いかにエージェントの方に動きやすくなってもらうかという視点で、自分の考えるポイントをまとめました。

繰り返しになりますが、エージェントは単なる業者ではなく採用プロジェクトの仲間でありパートナーです。そして何より、1人の人間です。
エージェントの担当者の方が何を目指し、何をモチベーションにしているのか。どんな仕事をし、どういう情報があれば仕事をしやすいかを知ることが、エージェント活用の第一歩となるはずです。

さぁ、ウチも求人票の見直しから始めましょうか!

採用管理システムにTalentioを選んだ理由

採用管理システム検討ポイントのアンサー記事

 3か月ほど前に、下記の記事を書きました。採用管理システム導入を検討していたので、そのポイントをまとめたものです。

nabeharu.hatenablog.com

その後検討した結果、システムはTalentio社のTalentioに決めました。今回の記事では、システムをどういうポイントで選んだか、何故Talentioに決めたのかを記録します。

Talentioを選んだ理由①:基本機能・要件を満たしている ただし...

まず、当たり前の話ですが、採用管理システムに期待する要件・機能を最低限満たしていることが前提です。今回重視したのは下記の機能。

  • 候補者登録 → 選考登録 → スケジュール登録までがスムーズか
    特にGoogleカレンダーとの同期ができるか
  • 候補者への連絡機能。システムからスムーズに候補者へ連絡できるか

特に2つ目の候補者連絡機能が想定以上にうまく機能し、業務が効率化されています。
今、私の会社では採用担当が2名おり、候補者との連絡はどちらのメンバーからも送る可能性があります。システムを使わずにメールでやり取りしていると、誰がどんなメールを送ったのか混乱する場合があります。状況を確認しようとすると過去のメールを検索する必要があって面倒だったり。

Talentioを使うと候補者ページからダイレクトにメールを送ることができるので、誰がいつ見ても候補者の状況・メール履歴を確認しながらメールを送ることができます。
しかも、候補者からのメールに未対応のものがあるとメールボックスに印がつくので連絡漏れも防いでくれています。

ただし、正直なところ機能の充実だけでTalentioを選んだわけではありません。むしろ、不満なところはまだまだあります。
特に、「エージェントとの連携機能」「候補者データの分析機能」はまだまだ実用に耐えるものではなく、今後の改善に期待したいところです。
正直、機能面だけでいえば、同時期に検討していたビズリーチ社のHRMOSのほうが優れていたように思えます。では、機能面で不満があるのにどうしてTalentioを選んだのかを、2つ目以降の理由で解説します。

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Talentioを選んだ理由②:開発スピード・改善スピードが爆速

機能追加・システム改善のスピードがとにかく速い!2017年の1月だけでも大小13コの機能改善がありました。サポートから改善要望を出したら即日対応してくれたことも!
ここまで爆速で改善されていくのであれば、今時点の機能の不満もいずれ解消されるだろうという期待が持てたことが、選んだ理由の2つ目でした。

Talentioを選んだ理由③:他サービスとつながっていく思想に共感

バックオフィス部門には、採用以外に労務・評価・経理など様々な業務があります。当然、採用以外の業務のシステム化も視野に入れてますので、導入する採用管理システムが他のシステムとどう連携するか?は気になるところです。

よくあるのは、採用・評価・労務などの人事関連のシステムはまるっと同じ会社が開発・提供するパターン。同じ会社のシステムを使えば当然スムーズに連携できるので、その会社に全て任せられる場合は安心です。

一方で、Talentioは他社・他サービスと有機的に連携していく思想のようです。
手始めとして、KUFU社のSmartHRと連携しました。

thepedia.co

こういったサービスの思想は良い悪いも正解不正解もなく、好みの問題かもしれませんが、私自身はTalentioの有機的に連携していく思想に共感しました。
人事という分野だけ見ても、各社で状況・課題は様々です。採用の課題と労務の課題は全くの別物ということもあるでしょう。採用の課題をA社のシステムで解決できたからといって、労務の課題もA社のシステムに合致しているとは限りません。
それであれば、1社に頼めばなんでも解決できます、というワンストップ型ではなく、その時その時で適したサービスを複数活用し、それらサービスを有機的に連携させていくことのほうが時代に即しているように感じるのです。

Talentioを選んだ理由④:安い

最後に料金。Talentioはかなり安いです。
採用管理システムの相場感としては5万円/月 前後というところでしょうが、今ウチが利用しているプランは2万円/月 です。
というか、月間50名の候補者追加までなら無料で使えるので、かなりの期間無料で使わせてもらっていました。もう少し高くてもいいんじゃないかなぁと思うくらいです。

料金については下記参照。

料金プラン | 採用管理システムTalentio

ツールを使いこなすことで生産性を高める

日本だとまだまだ業務のIT化が進んでいないなんて言われたりしますが、最近はHRTech界隈も盛り上がってきてなんだかワクワクしますね。
ツールを使いこなすことで仕事が効率化し、短い時間で高い成果を出せるのは間違いないので、自社の課題に合った適切な選定と利用ができるようになりたいと思い、ツール選定について言語化してみました。

 

ところで、今は評価管理システムの導入を検討しています。どなたか評価管理システム導入のポイントを言語化してくれませんか…?(他力本願)