なべはるの人事徒然

フィードフォース人事の中の人。採用、教育、評価制度、組織活性など、日々考えていることを綴ります。現在人事で働いている方、人事の仕事に興味のある方、就職活動中の学生などに読んでいただけたら幸いです。

採用担当者はノドが命!オススメの風邪予防法を紹介します

本格的な採用シーズンに突入!体調は大丈夫?

いよいよ本格的な新卒採用シーズンが始まりました。各社の採用担当者はイベント出展に大学訪問にと忙しくされていることでしょう。
身体が資本・ノドが命の採用担当者ですが、採用イベントはその身体とノドを徹底的につぶしにかかってきます。
私がよく参加している逆求人イベント1つとっても、下記のように体調を崩す要因が山ほどあります。

  • 半日間ほぼずっとしゃべりっぱなし。周囲がざわついているため声を張らざるをえず、ノドを酷使する
  • 会場はたいていの場合乾燥している
  • 1つの部屋に50~60人が集まる。これだけいればきっと1人くらいは風邪をひいている
  • 休日出勤となる場合が多く、生活リズムが崩れる。イベント自体の疲労も重なる
  • 出張先でのイベントの場合、移動疲れ&移動時の乾燥・感染の可能性が高い

nabeharu.hatenablog.com

こんな悪条件下で、私たち採用担当者は全国を駆け回って身体とノドを酷使しなければなりません。
というわけで今回は、そんな過酷な採用シーズンを乗り切るために私が実践している風邪予防方法を紹介します。このおかげかどうかは分かりませんが、ここ2年以上、体調不良で仕事を休んでません。健康第一!

乾燥は採用担当者の天敵!とにかく加湿!

ノドが命の採用担当者にとって、乾燥は天敵です。
インフルエンザや風邪のウィルスは湿度40%を切ると活発になるらしいです。湿度が低いと風邪を引きやすいばかりか、ノドを痛めることにもつながるので、とにもかくにも加湿に気を使いましょう。

xn--yfro26d.net

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自宅にはこだわりの加湿器を

まずは自宅の加湿から。多くの時間を過ごすことになる自宅の部屋は常に湿度50~60%に保ちましょう。暖房をつけると部屋が乾燥しがちになるので要注意です。

私が愛用している加湿器はバルミューダのRainです。一見ただの壺みたいな見た目で、下の写真のように水をそのまま注ぎ入れることができる優れものです。
加湿は日常のことなので、面倒くさがりの私にとっては無理なく続けられるかが最も重要です。
普通の加湿器だと、「給水タンクを取り外して水道まで持っていく」「給水タンクのフタを外して水を入れる」「フタを閉めて給水タンクを加湿器に設置する」という面倒な工程をふまなければいけません。これでは給水が億劫になってサボる日も出てしまいそうです。Rainなら、「水を直接注ぐ」というワンアクションですむので、サボらず毎日続けられます。見た目もかわいいのでインテリアとしても楽しめますしね。

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(公式HPより)

オフィスの加湿にアロマディフューザー

乾燥しがちなオフィスでの加湿にも気を使いましょう。オフィス全体の加湿は自分ではコントロールできないので、私の場合はデスク近くに加湿もできる無印のアロマディフューザーを設置しています。
広いオフィスでこんな小さな加湿器がどれほど意味があるかは正直分かりません。加湿に関しては気休め程度と思っています。

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たらすアロマはユーカリ殺菌成分があり、風邪予防に良いです。気分を変えたいときは、グレープフルーツのアロマで集中力をアップさせるのもいいかもしれません。ラベンダー等のリラックス系は、リラックスしすぎて仕事をする気がなくなるかもしれないのでやめておきましょう。
加湿と殺菌が同時にできて気分転換にもなり、見た目もかわいく癒されます。湿気でPCをダメにしないよう、気をつけて使いましょう。

移動中の予防&殺菌にはマスク+ユーカリ

移動中は「不特定多数の人と接触する」「加湿できない」点で非常に危険です。
この危険から身を守るために、マスクを常にしましょう。

マスクにユーカリのアロマを少しだけたらすと殺菌効果がついて更に良いですね。心なしかノドがすーっとする気もします。

特に、飛行機や新幹線などの移動が増えるこの季節。長時間同じ空間 + 不特定多数と接触 + 疲労 + 乾燥 という風邪を引く要素が満載なので、出張特に必ずマスクを持っていきましょう!

体力をしっかりつけて、採用シーズンを乗り切ろう

以上、私が実践している風邪予防をいくつか紹介しました。
とはいえ、一番大事なのは手洗い・うがい・栄養のある食事と十分な睡眠・休息 なのは言うまでもありません。休みがとりづらい時期とは思いますが、無理をなさらず湿度を保った部屋でしっかり休みをとってくださいませ。

新卒一括採用廃止の現実的な落としどころ

Yahoo!が新卒一括採用を廃止

japan.cnet.com

Yahoo!Japanが新卒一括採用を廃止することが大きなニュースになりましたね。

新卒一括採用の是非については10数年も前から議論されてきていますが、言葉ばかりが独り歩きをして結局が何がどうなるのかよく分からなくなることが多い話題でもありますが、Yahoo!が理想論ではない現実的かつ日本らしい落としどころを示してくれたように思います。ここでは、新卒一括採用廃止とは具体的にはどんな事象をさすのか、Yahoo!の施策はどんな意味と影響を及ぼすのか、整理してみようと思います。

 1年ほど前に論点をまとめた記事は下記です。

nabeharu.hatenablog.com

新卒「一括」採用は廃止しても、新卒採用はなくならない

まず、Yahoo!が発表している新卒一括採用廃止のポイントは下記のとおりです。

  • 新卒、第二新卒、既卒など経歴に関わらず30歳以下であれば応募できる「ポテンシャル採用」を新設する
  • ポテンシャル採用の選考時期は通年(1年中)とする
  • ポテンシャル採用のうち、就業経験者はいつでも入社でき、就業未経験者は4月or10月に入社とする

採用対象に「新卒」も含まれているとおり、新卒採用自体をやめるわけではないようです。「新卒一括採用廃止」という言葉から、新卒のポテンシャル人材を一切採らずに即戦力のみを採用するようになる、と認識している人もいるかもしれませんが、実態はまったくの逆で、ポテンシャル人材をもっと採用したいという意思表明なのです。

新卒を含めたポテンシャル採用という考え方が一般的に

Yahoo!のポテンシャル採用のように間口を広げることで、これまで新卒一括採用のレールに乗らなかった下記のようなポテンシャル人材を採用できる可能性が広がります。

  • 留学等何らかの事情でで日本の一般の就職活動時期に就職活動できなかった人
  • 3月以外の卒業予定者
  • 卒業後すぐには就職しなかった人
  • 就職したものの、大きくキャリアチェンジしたい人

こういった人材の採用は今では決して珍しいものではなく、就職活動時期や入社時期の柔軟な対応は中小・ベンチャー企業を中心に増えてきましたし、他企業に就職した人材のポテンシャル採用は第二新卒市場として一般的になりつつあります。

Yahoo!のような影響力のある会社がこうして大々的に宣言することで、今後は他大手企業も追随する流れがおきそうですね。
新卒採用がなくなるのではなく、新卒以外のポテンシャル人材も採用していこうという風潮になっていくと思います。

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欧米に近づいているわけではなく、むしろ日本式採用の延長と発展形

新卒採用の話題になると必ず、「新卒一括採用なんて時代錯誤なことをやっているのは日本だけだ、欧米を見習え」という論調の方が必ず現れます。今回のYahoo!の新卒一括採用廃止のニュースについても、ようやく日本的悪習から脱却した、という見方をしている方も多くいらっしゃるようです。

欧米のやり方のほうがいいかどうかはここでは置いておきますが、実は今回のYahoo!の新卒一括採用廃止は、欧米に近づいたわけではなくむしろ極めて日本的な採用思想に基づいたものだと私は捉えています。

欧米では新卒採用・ポテンシャル採用という採用手法は一般的でないか、あっても極少数です。どんな経歴の人材であっても中途採用と変わらず募集ポジションの要件を満たすかどうか、という即戦力の発想が強いです。(国によるとか、最近はポテンシャル採用もしているとかのツッコミはあるでしょうがそのあたり触れると長くなるんで割愛します)

一方、日本の新卒採用は、ポジションありきではなく人ありきで採用して入社後に育てようという思想にあります。今回のYahoo!の取り組みは、そのポテンシャル人材の採用を更に促進しようという動きですので、まさに日本的な、採ってから育てるという思想に基づいた採用手法の発展形だと思うのです。

就職活動時期の見直しや一括採用の是非など、議論になりやすい新卒採用の話題ですが、今回のYahoo!の取り組みは、「自社にとって必要な人材をどう確保するのか」という企業視点と「進路決定までの多様な選択肢を持ちたい」という求職者視点がかみ合った、現実的な落としどころなのだと感じました。

私の働いている会社、フィードフォースでも就職活動時期や入社時期を柔軟にポテンシャル人材を採用しています。興味のある方は是非ご連絡ください!(恒例のステルスされてないマ)

採用管理システム導入の検討・比較ポイントをまとめてみた

会社で採用管理システムの導入を検討しているので、その検討ポイントをまとめてみました。
自分用のメモですが、これから採用管理システム導入を検討している企業の方に参考になるかもしれません。

拡大する採用管理システム市場

ひと昔前は採用管理・人事管理システムといえば富士通・日立・東芝などの大手システム会社が高額のパッケージで提供していましたが、今は多数のクラウドサービスが存在します。

hcm-jinjer.com

上記まとめによれば全41サービス!モノにもよりますが、金額帯は大体月3~10万円程度。機能や用途は多種多様なので、「採用管理システム導入で実現したいこと」と「そのために必要な機能」の要件をまとめておかなければ、適切なサービスの選定はできなそうです。

採用管理システムで実現したいこと

まずは、何故・何のために採用管理システムを導入するかをまとめてみます。
やりたいことはたくさんあるのですが、大きく分けると下記の2つといえそうです。

採用活動の分析

採用活動は営業活動に近いです。これまでの採用活動データを分析して、適切な行動計画を立てることが採用成功につながります。
いつ、どの職種に、どの媒体から、どんな応募があって、結果どうなったか...といったデータを蓄積して分析できるようにしておくことが必要です。

採用活動の効率化

媒体管理、求人原稿作成、スカウトメール送信、応募者対応、面接調整、面接対応等々、採用担当者には多くの事務作業があります。
採用管理システムには、その膨大な量の事務作業を少しでも効率化・自動化することを期待したいものです。

採用管理システムに求める機能

上記をふまえると、私が採用管理システムに求める機能・要件は下記の6つとなりそうです。
(どんなシステムでも当たり前にあるであろう機能は除外しています)

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1.候補者データの蓄積

蓄積自体はどんなシステムでもできると思うのですが、後で検索することを考えると、職種や応募元の設定ができることはもちろんのこと、その他のステータスかタグを細かく設定できると尚良いです。
例えば、「スカウト」というタグをつけておければ、後でスカウトからの応募者のみを検索できると便利ですね。

2.候補者データの分析

データの蓄積がされていれば分析は当然できるのですが、どうせなら採用管理システムの基本機能で知りたい情報がパっと出たら嬉しいものです。
具体的には、「月ごと」「職種ごと」「媒体ごと」それぞれの「応募数」「面接数」「通過率」が一目で分かると、採用成功のための行動計画をスムーズに立てることができそうです。

3.KPI管理

応募データをもとに行動計画を立てたら、そのままシステムでKPI管理ができると更に良いですね。
この機能があるシステムはほとんどなさそうですが、「月ごと」「職種ごと」の「応募数目標」「面接数目標」の設定と実績管理ができると便利そうです。

4.人材紹介会社/転職エージェントとのスムーズな連携

人材紹介会社から候補者を紹介してもらう場合は、メールでパスワード付の候補者レジュメを送ってもらうのが一般的です。
1社1社の紹介会社と人事がメールでやりとりをするのではなく、採用管理システムに直接書類をアップロードしてくれればその後の書類選考や面接官への情報伝達がスムーズになります。

その際、人材紹介会社の方から見て採用管理システムに書類をアップロードすることが手間に感じるようだと、紹介数が減って本末転倒です。人事側からだけでなく、エージェントから見て使いやすいかも大きなポイントです。

5.スケジュール登録機能(スケジューラとの同期)

人材紹介会社ともうまく連携し、候補者の入力がスムーズに行えたら、次は面接調整です。その際、面接官のスケジューラ(当社の場合はGoogleカレンダー)と同期して、採用管理システム上でスケジュールまで押さえられると、面接調整の手間がグっと減ります。会議室も一緒に押さえられると更に良いですね。
個人的にはこの機能はかなり重要だと考えています。スケジューラと同期できないと、採用管理システムとスケジューラの二重登録が必要となり、採用管理システムがあるせいで仕事が増えることになるからです。作業手順が増えればそれだけミスの可能性も高くなるので、スケジューラと同期できるかは、採用管理システムを選別するうえで大きなポイントになりそうです。

6.候補者への連絡機能

将来的に、タレントプールして長期的に候補者と連絡をとる場合や、新卒採用で多くの候補者に一度に連絡したい場合などは、採用管理システムから特定のステータスやタグの候補者に対して一度に連絡できると業務の削減になります。
どちらのケースもExcelなどでの管理でも似たようなことはできるので優先度としては低いですが、どうせ採用管理システムを使うのであれば、できればほしい機能ではあります。

導入目的を満たす採用管理システムの選定を

このように、今の私に必要と思われる要件をまとめてみました。他にも、リファラルを促進するための社員向け連絡機能や、求人ページを作成できる機能など様々あるでしょうが、今の私の採用状況からすると優先度は落ちます。

上記をもとにこれから具体的に選別を始めます。結果はブログで報告する…かもしれません。

追記:Talentio に決定しました

上記をもとに複数サービスを比較検討した結果、Talentio に決定しました。決定した理由は下記をどうぞ。

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人事はもっと発信しよう!HR Meetup Tokyo vol.2 に参加しました

メルカリの石黒卓弥さんが主催している人事ミートアップイベントに参加してきました。

HR Meetup Tokyo “The War for Talent”とは

採用に悩んでいない会社はない!他社の良い取り組みを自社にも活かそう!ということで、メルカリの石黒 卓弥さんが主催している人事ミートアップイベント“The War for Talent”に参加してきました。

イベントの主旨をイベントページから引用すると、

「人事はもっと発信しよう」と思ってこの集まりを作ってみようと思いました。
人事や採用に関する情報は世の中に多くあふれていますが表面的な情報が多く、「現場での実行」となると途端に見えにくくなります。採用や組織についてもっともっと学びたいと思いませんか?
「現場で実行している人」の「実行している中身」を「お互いにアウトプットしながら学ぶ場」を作ることにしました。

とのこと。ワクワクしかありません!

当日参加した企業は、メルカリ・レアジョブ・ビズリーチ・マネーフォワード・ユーザベース・ビザスクなど急成長中のベンチャー企業ばかり。各社各様の採用の工夫をこらしており、刺激的な時間でした。

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(イベントページより引用)

 

怒涛の採用TIPSライトニングトーク!

当日は、「私の採用TIPS」をテーマに5分間のライトニングトーク&質疑を参加者全員で進めました。
以下は、私が当日リアルにメモしたことを箇条書きで紹介します。当日の熱量を少しでも感じていただければ幸いです!

  • 社員紹介に力を入れる。
    社長より、「必ず週に1人紹介するように」と強くメッセージングしている。今欲しい人材の要件を月に1度社員に伝えている。
  • 社員紹介を促進するためには、まず社員が自社のことを好きになる必要がある。社内の会議でことあるごとに「ウチの会社のココがすごい」と言い続ける。
  • 採用目的のミートアップイベントを推進する。社員が人を紹介したいと思えるイベントを定期開催する。ダイレクトスカウトからミートアップイベントへ誘導もアリ。
  • すぐ結果が出なくても諦めずやり続ける。ミートアップイベントの参加者が少なくなってしまうこともあるが、やり続けるのが大事。
  • LinkedIn でめちゃめちゃコンタクトする。
  • 採用したい職種についての記事をメディア向けに営業する。
    「どんなネタを提供できるか」「そのネタがどう面白いか」などを複数案作りメディアの方向けにラブレターを送る。
  • エンジニア採用では言語経験の年数を見ない。「Java経験3年以上」とかの求人はイケてないように見える
    デキるかどうかに経験年数は関係ないし、例えばJavaを深く理解している人は他の言語にもすぐ対応できる。
  • エンジニア採用で一番見るのは、ググっても解決しない問題を解決したか。
    受託開発的ではなく、プロダクトを主体的に伸ばす働き方に慣れているか。
    ソフトウェア技術が好きかどうか。ある程度のトレンドを知らない人はそもそもソフトウェアを好きでないことが多い。
  • 新卒採用に実務インターンシップを活用。
    就職活動が終わった今の時期、リクルートやコンサル・投資銀行などに内定出ている学生に働いてもらう。純粋に戦力として活躍してもらう一方、マッチする人がいたらそこから採用する。教育もできてミスマッチが少ない。

いかがですか?どの話題をとっても「もっと詳しく聞きたい!」と思える内容ではないでしょうか。実際、質疑応答が盛り上がりまくりで濃い~時間でした。
詳しいまとめは、SCOUTERの大間知さんやメルカリの石黒さんがまとめてくれているので下記記事をご覧ください。

www.wantedly.com

medium.com

人事こそもっと発信するべし

世の中には「今はリファラル!」「ダイレクトリクルーティングの時代だ!」等の表面的な情報があふれていますが、私たち人事担当者に必要なのはより実践的な現場の体験とそこから得た知見です。

その意味で、今回参加したミートアップイベントは、現場で実際に試行錯誤しているメンバーによる血の通ったノウハウを共有することができ大変有意義でした。
参加された皆さん、ありがとうございました!!

 

他社の人事課題に無責任に意見を言い合う、「無責任会議」も不定期開催中。またそろそろやりたいですね! 

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会社説明会での質疑応答の満足度を高める方法

就職活動も本格化して数か月。多くの企業が会社説明会を実施していることと思います。
今日は、会社説明会で必ずといっていいほどあるコンテンツ「質疑応答」の満足度を高めるちょっとした工夫について人事目線でお話しします。

就職企業説明会での質疑応答の問題点

よくある説明会では、一通り事業内容や仕事内容を説明したあとで、「それでは質問のある人は手を挙げてください」と質疑応答の時間をとることが普通です。

こういった質疑応答の時間を設けることは、企業側が一方的に説明するのではなく学生の知りたいことにも答えようという姿勢として良いと思うのですが、有効に機能させようとすると中々難しいものです。
従来型の質疑応答には、ざっと下記のような問題点が考えられます。

中々質問が出てこない

【人事】
「それでは質問のある人はどうぞ。聞きにくいことでも答えますので、どんな話題でもかまいません」

【学生】
しーん…

 人事として一度は経験するこの場面。辛いですよね…。あまりの沈黙に耐えきれず、こちらからベラベラ話してしまって更に質問しづらい空気になるという悪循環に陥ってしまったりします。

やはり、「挙手制で」「人事と学生に注目されている中で」質問をするというのはかなり心理的ハードルが高いものです。

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しょうもない質問をされる

沈黙がしばらく続いたあと、やっと出てきた質問が「初任給はいくらですか?」などのようなHPを見れば書いてある類の質問でがっくりきてしまうこと、ありますよね。
せっかく質問してくれたので邪険に扱うこともできず丁寧に答えますが、その時間は他の学生にとっても無駄な時間になってしまったりします。

突っ込んだ質問ができない

社員 ⇔ 学生 での質問だと、中々突っ込んだ質問をしづらいです。
社員が答えた質問をもっと深堀りしようと思っても、空気的にしづらかったり周辺知識がないと突っ込んだ質問ができなかったりと。

結果として、

【学生】
「仕事のやりがいは何ですか?」

【社員】
「お客様にありがとうと言われるとやりがいに感じます」

【学生】
「ありがとうございました」

などの浅~いやりとりだけで質疑応答が終わってしまうことがままあります。

1人がずっと質問し続ける

1人がすごく積極的で、他参加者がそうでもない場合にありがちです。1人の学生がずーっと質問をしてしう状態。何とな~く、空気が変になりますよね。
せっかく積極的に質問してくれていた人も、自分ばかりの質問が続いたことに引け目を感じて、まだ聞きたいことがあるのに遠慮してしまったりして、誰も得しない状況になっちゃったりします。

ふせんを使って説明会の質疑応答の満足度を高める

普通のやり方で質疑応答の時間をとると、このようにいくつかの問題があります。
そこで最近実践しているのが、ふせんを使って質問を集め、ふせんをもとに社員が質問する手法。

説明会開始時にふせんを配り、「質問・疑問はふせん1枚につき1つ書いてください。説明の途中で集め、最後にその質問にまとめて回答します」と伝えます。

あとは集めたふせんをもとに、社員Aが社員Bに対してひたすら質問をするだけです。

この手法を取り入れることでのメリットは下記のとおり。上記で挙げた問題点を全て解決してくれます。

  • 挙手制よりも質問のハードルが低くなり、たくさん質問が出てくる
  • どの質問に回答するかは社員が選択できるので、HPに載っている情報やあまりに的外れな質問にかける時間を省くことができる
  • 社員が代わりに質問することで、より突っ込んだ回答を引き出すことができる
  • 社員同士の掛け合いから、社風・雰囲気が伝わる

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この手法を取り入れると、先ほど例にあげた浅いやりとりで終わってしまった質疑応答を下記のように突っ込んだ内容にできます。

【社員A】
「仕事のやりがいは何ですか?」

【社員B】
「お客様にありがとうと言われるとやりがいに感じます」

【社員A】
「最近、いつどんなときにありがとうと言われたのですか?」

【社員B】
「先週、1年間担当していたクライアントの担当者が年間マーケティング目標を達成したという報告があって、すごく感謝されました」

【社員A】
「なるほど、それはうれしいですね。どのように工夫して目標達成できたのですか?」

【社員B】
「担当者の課題や悩みを丁寧に聞いていって、ウチが扱っているサービス以外にも喜ばれそうな情報や施策を提案し続けた結果です。何かあるととりあえず相談してもらえるくらい信頼関係を築けていたので、お客さんの目標達成は本当に嬉しかったですね」

【社員A】
「なるほど、ありがとうございます。そのことに関連した次の質問ですが...」

 このように、会話をしながら質問を掘り下げ、かつ次の質問が関連したものにすることで、質疑応答がストーリー仕立てになり聞く側も楽しく集中して聞けるようになります。

一方で、デメリットというかリスクもあります。

  • 質問すべてに回答できるわけではないので、フォローが必要。
  • どの質問をどういう順番で聞くかの選択、質問の仕方、適度な脱線、タイムコントロールなど、質問者にスキル/経験が求められる(ココがイマイチだと逆効果になる)。
  •  質問者と回答者の関係性や空気感が良くも悪くも露わになる。ギクシャクした感じになると逆効果。
    (私が学生のときに参加した会社説明会で、明らかに仲の良くなさそうなおじさん上司と若手社員のやり取りを見て志望度が下がったことがありました)

このように、質問者と回答者のスキルや経験が必要になってきますが、うまくやれば本質的かつ効果的な質疑応答の時間を設けることができ、学生の満足度を高めつつ自社のアピールをすることができます。

会社説明会で普通の質疑応答の時間を設けている方、ふせんを使った質疑応答システムを試してみませんか?

採用の現場で学生を子ども扱いしない

新卒採用の仕事に関わるようになって8年ほど。数多くの学生と接してきました。

そんな中で、個人的にひっそりと気をつけていることをまとめてみます。
「こうじゃない採用担当者はけしからん!」という趣旨ではありませんのであらかじめご了承ください。

学生を子ども扱いしない

普段接する学生は年齢でいうと20代前半。30を越えてお腹の出てきた私たちおじさんからすると若いです、まぶしいほどに。あいつら、オールで飲んだ翌日にバイトの早番とか入れられる体力あるんですよ、きっと(偏見)。

とはいえ、私たちから見れば若いとはいえ、彼らはもう成人した大人でもあります。自分の意志でこれまでの人生を生きてきて、自分の意志で今後の進路を決めようとしている一人の大人です。
採用担当者と学生は、「おじさん⇔若者」「採用する側⇔される側」という、採用担当者の上から目線が許される勘違いを起こしがちな構図ですので、うっかり上から目線で学生を子ども扱いしないよう、気をつけています。

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上から目線、子ども扱いをしないように具体的に気をつけていることは下記のとおり。

  • 敬語で話す
    対等な大人の1人として、基本的に敬語で話をします。
  • 原則として「~さん」づけで呼ぶ
    個人的なこだわりですが、「~くん」づけで呼ぶことも控えてます。
    あだ名で呼べるほど親しくなったら別ですが。
  • 「あの子」など、「子」呼ばわりしない
    親じゃありませんし。ハタチ過ぎの子どもがいるほどの年でもありませんし。
    自社の内定者や新入社員を「ウチの子」と呼ぶほど自社と社員に愛着を持つ採用担当者は嫌いじゃないですけどね。私は言いません。
  • お客さま扱いしない
    子どもではないけど、お客さまでもない対等な関係だと思って接しています。
    対等な関係なので、自社のアピールは一生懸命します。
  • 勝手に社会の枠にあてはめない
    「最近就活どう?」みたいな会話の始め方は控えています。大学に入学→卒業→一般企業に就職、というのは採用担当者からすれば当たり前のことかもしれませんが、それしか選択肢がないわけでもありません。
    卒業せずに起業する人、海外に行く人がいるかもしれませんし、就職するにしても、皆と同じように就職活動しなければいけない決まりもありません。就職活動は数多くある選択肢のうちの1つに過ぎない、という前提で話をします。

根底にあるのは、「最近の若者はすごい」 

「最近の若者はけしからん」という言葉はエジプトの遺跡からも出てきた、なんて逸話もあったりしますが、客観的に見ても主観で見ても昔より今の若者のほうがどう考えてもすごいと思います。

私たちおじさんよりも、体力も学習力もポテンシャルもITの活用機会もチャンスも時間もたっぷりもっています。勝てるのは年金の受取額くらいなのでは。

そのすごい若者と接する以上、相応の敬意を払って対等に扱い、そのうえで「負けるもんか」と大人げなく対抗意識を燃やすのが私なりのこだわりです。

nabeharu.hatenablog.com

とはいえ、これらのこだわりはあくまで私の個人的なものですので、そうでない採用担当者を批判したいわけではありません(自社の人事メンバーにはこだわりを共有してますが)ので悪しからず。